重要な事実
NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、この小惑星「2024 YR4」は1.3%の確率で、地球に衝突する可能性がある。衝突があるなら2032年12月22日に起きると、JPLは示唆している。だが、天文情報サイトSky and Telescopeの報道によると、米カリフォルニア州を拠点とするアマチュア天文家サム・ディーンの推算では、衝突確率が6%に達する可能性もある。小惑星の衝突リスクが1%を超えたのは、2024 YR4でわずか2例目だ。1例目は、混沌を象徴する古代エジプト神にちなんだ「アポフィス(Apophis)」の名前でよく知られる小惑星99942だ。アポフィスは2029年、2036年と2068年に地球に脅威を及ぼす恐れがある。
南米チリのリオ・ウルタドにある小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)の望遠鏡の1つで2024年12月27日に発見された2024 YR4は、直径が40~90mと見られている。ATLASは米ハワイ大学が開発し、NASAが資金を供与している小惑星衝突の早期警戒システムだ。
2024 YR4の大きさと軌道は、国連が事務局を務める2つの小惑星対応組織のIAWNと宇宙ミッション計画諮問グループ(SMPAG)を警戒態勢に入らせるのに十分なレベルなのだ。
ESAの惑星防衛局(PDO)によると、これほどの大きさの小惑星は、平均して数千年に1回の頻度で地球に衝突しており、局所的な地域に深刻な被害を及ぼす恐れがある。PDOは地球衝突の可能性のある地球近傍天体をまとめた「小惑星リスクリスト」で、2024 YR4をトップに位置づけている。
IAWNによると、2024 YR4が直径90m近くあり、2032年12月22日に地球に衝突した場合、衝突地点から50kmの範囲にまで「重大な爆発による被害」が及ぶ恐れがある。小惑星の「突入経路となる危険性のある地域」は、太平洋東部、南米北部、大西洋、アフリカ、アラビア海、南アジアの範囲と推定されているという。
この爆発は、10メガトン(TNT火薬換算で1000万トン)の爆弾に相当するものになる可能性があると、ハワイ大の天文学者ジョン・トンリィは科学誌Scientific Americanの取材に語っている。トンリィは「3~4km以内にあるものは全て焼かれて灰になるだろう。恐らく10kmくらいまでの範囲にあるものは全て破壊される」として「経路から外れた場所に人々を避難させなければ、多数の死者が出るだろう」と述べている。
だが、IAWNは現在のところ、衝突のシナリオが現実になる可能性は依然として低いままだという点を強調したい意向を示している。IAWNが発行した通知書には「この小惑星が地球に衝突するかどうかには大きな不確実性があるものの、もし衝突が起きるとすれば、この日になる」と記されているが、同時に「この日に2024 YR4が地球を安全に通過する確率は99%近くある」と強調している。
欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)などを用いたフォローアップ観測では、2024 YR4が99%近い確率で地球を安全に通過することが明らかになっている。しかしながら、ESAによれば、衝突の可能性はまだ完全に排除できるわけではない。