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2025.02.07 10:00

【米国株ウォッチ】たばこ大手アルトリア、買収した子会社が好調も株価は妥当な水準か

Mario Tama/Getty Images

Mario Tama/Getty Images

先日、世界最大のたばこメーカーである米アルトリア・グループ(ティッカーシンボル:MO)は2024年度第4四半期(Q4)決算を発表し、収益と利益がそれぞれ市場予想をわずかに上回った。同社の収益は51億1000万ドル(約7830億円)、調整後のEPS(1株あたりの純利益)1.29ドルで、市場予想はそれぞれ50億5000万ドル(約7738億円)、1.28ドルだった。アルトリアは引き続きオーラルたばこ製品の売上増加による恩恵を受けた。しかしその一方で、同社が発表した2025年度の業績見通しは市場予想を下回るものだった。

アルトリア株は、2024年初頭から米国記事執筆現在までに約41%のリターンを記録している。これは、同期間に約27%上昇したS&P500種株価指数をアウトパフォームする内容だ。これは主に、アルトリアが昨年アンハイザー・ブッシュ・インベブへの出資比率を引き下げ、それにより得た資金を自社株の買い戻しに充てたことなどに起因している。

Q4決算の概要

Q4決算の収益は、前年同期比1.6%増の51億1000万ドル(約7830億円)だった。電子たばこを販売する子会社、NJOYの製品や、ニコチンパウチのon!など、比較的新しい製品がこの成長を牽引している。喫煙用製品の総販売数量は8.6%減少し、オーラルたばこ製品の販売数量は0.4%減少した。VAPE製品や電子たばこを販売する子会社のNJOYは、消耗品の販売数量が前年同期比15.3%増、デバイスの販売数量が22.2%増と、堅調な伸びを示している。

Q4決算における収益成長率は1桁台パーセント前半の伸びにとどまったものの、調整後の営業利益率は喫煙用製品で2.2ポイント、オーラルたばこ製品で6.4ポイント改善した。増収と営業利益の改善により、調整後のEPSは前年同期比9.3%増の1.29ドルとなった。

アルトリアは2025年度の業績見通しを発表し、EPSは市場予想の5.35ドルを下回る5.30ドルとした。さらに同社の経営陣は、市場で違法なVAPE製品が増加しており、それが同社のビジネスに影響を与えていると指摘している。違法製品は現在、VAPE製品市場の60%を占めており、米政府が定めるガイドラインの範囲内で事業を行っているアルトリアにとって不公平な状況が続いている。

アルトリアの目標株価は?

アルトリアは明るいQ4決算を発表したが、決算後、その株価には大きな変化が見られない。しかし、もう少し長い期間を見てみると、過去4年間におけるアルトリア株のリターンは、S&P500と同様に大きく変動している。アルトリア株の年間リターンは、2021年に24%、2022年に4%、2023年にマイナス4%、2024年に41%だった。

私たちは最新決算を反映したアルトリアの目標株価を近日中に更新する予定だが、現在の株価は妥当な水準にあると考える。現在の株価で計算したアルトリア株のPER(株価収益率)は10.2倍となっており、これは過去5年間の平均値である9.5倍をわずかに上回る水準だ。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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