UVeyeは29日、新規で1億9100万ドル(約296億円)をエクイティ(株式)とデット(借り入れ)で調達し、北米と欧州の製造拠点を拡大すると発表した。このうちの4100万ドル(約64億円)のエクイティ調達をトヨタ傘下のウーブン・キャピタルが主導し、1億5000万ドル(約233億円)のデットファイナンスを、トリニティ・キャピタルが主導した。
ウーブン・キャピタルのプリンシパルであるウィル・ファングは、「UVeyeのプラットフォームは、自動車サービスプロバイダーと顧客のつながりを深めるのに役立つ」と述べている。
UVeyeの共同創業者でCEOのアミール・ヘバーによると、2016年に設立された同社の累計調達額は、3億8050万ドル(約590億円)に達したという。同社は、多数の自動車メーカーやディーラー、中古車オークション業者と戦略的パートナーシップを締結している。
UVeyeのドライブスルー型検査ステーションは、カメラやAI、機械学習などの技術を組み合わせ、外装や性能、構造、機械、タイヤの欠陥を数秒で検出し、その場でレポートを作成する。ヘバーによると、新たに調達する資金は、事業のさらなる拡大とトヨタとの関係強化に充当する予定という。
「我々は、今回調達するデットとエクイティの資金を用いて、1000を超える数のシステムを展開したい。ウーブンとの協力関係で、今後はより多くのトヨタのディーラーに当社の技術が導入されることを期待している」と、ヘバーはインタビューで語った。
トヨタと緊密な関係を築いているUVeyeは、「2025年にはトヨタの認定装備プログラムに参加する予定だ」と述べている。
日本とドイツにも拠点
UVeyeのドライブスルー型検査技術は、もともと国境での密輸品検査用に開発したものだが、その後すぐに製造工場での品質管理向けに用途を拡大した。同社はその後、ニュージャージー州ティーネックに北米本社を開設し、ディーラーやフリート業者に対する検査ステーションの展開を急速に拡大した。UVeyeは、日本とドイツにも拠点を設けている。また、UVeyeは自社データと自動車メーカーから取得した情報を組み合わせることで、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)や電気自動車(EV)に対する理解を深め、検査ステーションの機能を向上させようとしている。
一方、UVeyeは、オーストラリア企業のCMT Scannerとの競争に直面している。CMTは昨年11月、車両再生センターをチェーン展開するSwift Collisionと共同で、北米初の車両検査事業を立ち上げた。両社の検査ステーションの主な違いは、CMTが外装の欠陥のみを検出するように設計されているのに対し、UVeyeはタイヤを含む車両の内外を検査できることにある。
(forbes.com 原文)