海外

2025.01.17 08:00

「自動航行する軍用艦」を開発、米新興のサロニックが780億円調達へ

Saronicの自律型水上艦艇 「Spyglass」と「Cutlass」(C)Saronic

Saronicの自律型水上艦艇 「Spyglass」と「Cutlass」(C)Saronic

自動航行する軍用艦を開発するスタートアップ企業のSaronic(サロニック)が、5億ドル(約780億円)の資金調達に向けた協議を行っていることがフォーブスの取材で明らかとなった。

3年前に設立されたばかりのサロニックによるシリーズCラウンドは、同社の評価額を30億ドル(約4700億円)に押し上げる見通しだと、事情に詳しい5人の情報筋が語った。そのうちの2人によれば、サロニックはベンチャーキャピタル(VC)のアクセルと出資について協議中で、別の1人は、既存株主でエンジェル投資家のエラド・ギルも関与していると語った。同社は以前に、8VCやアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)から調達を行っていたが、これらの投資家が、シリーズCに参加するかどうかは不明だ。

サロニックとアクセルはコメントを拒否し、a16zやエラド・ギル、8VCらはコメント要請に返信しなかった。

今回の調達に向けた交渉は、防衛テクノロジー分野に対する投資家の関心の高まりを示すものであり、米国防総省の軍事力強化を支援するサロニックのユニコーン企業としての地位を、一層強固にするものと言える。このセクターに属する他のスタートアップであるAnduril(アンドゥリル)や、ドイツを拠点とするHelsing(ヘルシング)などもここ最近、a16zやゼネラルカタリストなどの投資家から大規模な調達を実施した。

2022年にサロニックを設立し、米海軍の退役軍人でもあるディノ・マブローカスCEOは、以前フォーブスのインタビューで、この会社を立ち上げた動機として、中国海軍の造船能力が米海軍よりもはるかに高く、効果的であることへの懸念を挙げていた。オースティンを拠点とする同社は、米海軍が保有する艦船のサポート役として機能する、武器運搬や情報収集に利用可能な自律型船のプロトタイプを少なくとも2つ開発中だと語っていた。

同社はこれまで主要な政府契約を発表しておらず、収益を含む財務情報の開示を拒否してきた。フォーブスは昨年7月、サロニックがシリーズBラウンドで1億7500万ドル(約274億円)を調達し、企業価値が10億ドル(約1600億円)に達したと報じていた。当時、マブローカスは、この資金を利用してオースティンの新たな製造施設での造船を拡大する計画だと述べていた。
次ページ > 競合から幹部を引き抜き

編集=上田裕資

タグ:

続きを読むには、会員登録(無料)が必要です

無料会員に登録すると、すべての記事が読み放題。
著者フォローなど便利な機能、限定プレゼントのご案内も!

会員の方はログイン

ForbesBrandVoice

人気記事