AI

2025.02.03 17:30

OpenAIサム・アルトマンが東京で語った「AIの進化ビジョン」

OpenAIのサム・アルトマンCEOが東京大学と開発者向けラボセッション「OpenAI Builder Lab」を訪問

OpenAIの「AI開発哲学」

これらのセッションを通じて行われたサム・アルトマンCEOへのインタビューについてもお伝えしよう。

「AIの進化は単なる知能の向上にとどまらない。これまでのGPTシリーズの発展を見てもわかるとおり、OpenAIは『より高度な推論能力を持つモデルを作ること』を重視してきた。より複雑な質問に対し、的確な答えを出すことが目標だったが、その先にあるのは『AIがユーザーのために、どのようなタスクをAIで実行するかを考えてくれる』未来が待っている」という。

その第一歩が今年、2025年で事前学習に対する答えを探すAIから『現実世界で行動するAI』へと向かう。前述した「Deep Research」のようなエージェント型AIがそれだ。

これは、ユーザーの複雑なリサーチを代行し、最適な情報を整理して提供する技術だ。単なる回答生成を超え「AIがユーザーとのディスカッションを通じて新たな創造を行なっていく本格的な知的労働のパートナーになる時代が近づいている」と話す。

AIが語る新しい学びのかたち

AIをレポートに使う学生が多いことは容易に想像できる。一部にはAIを用いてレポートを書くことを禁止したり、学校内では使わないように指示する例も耳にする。

しかしそうした方向は正しいものではなく、むしろ積極的に取り入れるべきだと話す。

そこで次のような質問をしてみた。

「電卓を使うことが試験会場で許されるようになったことは、過去において画期的な出来事でした。AIがすべきことをやらせ、それを使いこなすことで何ができるかを考えるべきでは。ではどんなかたちでカリキュラムに組み込むことができるだろう?」

計算機もAIも、道具として人間の創造力を高めるのは同じだ。

「プログラミング教育が象徴的な例だと思う。プログラミングを学ぶ意味とは何なのか? プログラミング言語を学び、単にコードを書く技術を学ぶだけならば、それはAIが手伝ってくれる。プログラミング教育で重要なことは、どのような創造的な問題解決をするかだ。そうした創造力をAIとともに高めていく教育へとシフトしていくだろう」(アルトマン氏)

彼自身、10年前ならば学ぶことが必須だったプログラミングツールに関する知識を学ぶ必要なく開発に取り組めたと話す。パンチカードにプログラムを打ち込んでいた時代と今では、前提となる必須知識が異なるわけだが、それはどのようなジャンルでも同じだろう。
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編集=安井克至

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