2023年の新規出店数は5751店舗で、閉鎖店数とほとんど差はなかった。2024年には閉店数が出店数(5970店舗)を大きく上回った。しかし米調査会社コアサイト・リサーチによると、2025年は出店数が5800店舗にとどまる一方、閉店数はコロナ禍の2020年に記録した過去最多(約1万店舗)を更新すると予想され、不均衡がいっそう広がるのは避けられそうにない。
米小売業界では、今年に入ってから昨年同期比で3倍を超える数の店舗閉鎖が発表されており、新規出店数は約30%減少している。
すでに発表された閉鎖店数は2000店舗以上。廃業したパーティグッズ専門店のパーティシティ(738店舗)と破産したディスカウント小売チェーンのビッグ・ロッツ(601店舗)が最多で、次いでドラッグストア・チェーンのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(333店舗)、セブンイレブン(148店舗)、百貨店のメイシーズ(51店舗)とコールズ(27店舗)が続く。
一方、年内の新規出店が発表されたのは約1000店舗で、独ディスカウントスーパーのアルディ(170店舗)が最多。以下、JDスポーツ(124店舗)、オフプライス小売のバーリントン・ストアーズ(104店舗)、ジュエリー小売のパンドラ(61店舗)、書店チェーンのバーンズ・アンド・ノーブル(60店舗)、ディスカウントチェーンのダラー・ゼネラル(60店舗)と続いている。
小売店舗の閉鎖数で例年最も大きな割合を占めるのが、予想外の倒産による大量閉店だ。昨年は小売業者の倒産件数が51件に上り、2023年の25件から2倍増となった。
コアサイト・リサーチのデボラ・ワインスウィッグ最高経営責任者(CEO)は、次のように指摘している。「2024年にはインフレと、消費者の間で最安値を求めてオンラインショッピングを好む傾向が強まったことが、実店舗を展開する小売業者にとって打撃となった。消費者が最も心理的抵抗の少ない道を選ぶ傾向は続いている。彼らはもはや最安値を求めるだけでは満足せず、整理整頓の行き届いていない店舗や品切れの多い店舗、顧客サービスが不十分な店舗を容認しない」