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2025.01.28 14:00

シリコンバレーでも注目を集める中国製AI「DeepSeek」、そのすごさと創業者

Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images

同社は追加の取材要請には応じていない。2023年に創業され、外部からの出資が確認されていないDeepSeekの初期段階での成功は、シリコンバレーに強い衝撃を与えている。著名投資家のマーク・アンドリーセンは米国時間1月24日にX(旧ツイッター)で「DeepSeek R1は、これまで目にした中でも最も驚くべきブレークスルーの1つです。そしてオープンソースとして、世界への価値ある贈り物でもあります」と述べている


ワシントンD.C.に拠点を置くアドバイザリー企業DGA-Albright Stonebridge Groupのパートナー、ポール・トリオロは電子メールを通じて「DeepSeekのモデルは、OpenAIと比べても最高レベルの性能と見なされています」とコメントしている。

同社の急成長を牽引しているのは、先端技術に強いこだわりを持つ隠遁型ヘッジファンド経営者である梁文峰だ。1985年に広東省で生まれ、父親は小学校教師だった。地元メディアによれば、梁は投資家としてキャリアをスタートさせ、2008年に杭州の浙江大学でコンピュータビジョン関連の修士号を取得後、株式取引でのAI活用を研究し始めた。

梁は2015年にヘッジファンド「High-Flyer Quant」を共同設立し、その翌年にはアルゴリズムを用いた投資機会の分析を開始した。同社ウェブサイトによれば、2017年までにHigh-Flyer Quantの投資はほぼすべてAIによって行われていたという。

2019年までにHigh-Flyer Quantの運用資産(AUM)は100億元(約2133億9000万円)に達した。地元メディアが引用した中国のHithink Flush Informationのデータによると、2024年時点で200%を超えるリターンを上げているファンドもあるとされる。

しかし梁の真の関心は、フロンティア技術を探求することにあるようだ。2023年に行われた希少なインタビューで、梁は地元メディア36Krに対し「研究とイノベーションを追求したい」と語っている。High-Flyer Quantを運営する一方、梁はワシントンの輸出規制が施行される前からエヌビディアのチップを買いだめしており、ヘッジファンドのリターンをAIモデルのトレーニングに投資していた。
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翻訳=酒匂寛

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