中国のヘッジファンド界の大物、梁文峰(リャン・ウェンフォン)が創業したDeepSeek。ChatGPTのライバルとなる同社のAIは、米国でダウンロード数ランキングで首位を獲得している。米国による関連技術の輸出規制下にもかかわらず、比較的無名の企業がいかにして高度なAI製品を生み出せたのかという議論を巻き起こしている。
サンフランシスコに拠点を置く市場分析プラットフォームSensor Towerによれば、独自AIモデルを搭載した「DeepSeek-AI Assistant」は現在、中国とアップルの米国App Storeにおいて、無料アプリ部門で最も人気があるという。ChatGPT同様、このチャットボットは質問への回答、文章の作成、情報収集の支援といった幅広いタスクを実行できる。
このアプリが急速に注目を集めている背景には、開発元である杭州拠点のDeepSeekが、シリコンバレーを驚かせる技術的ブレークスルーを成し遂げたことがある。サンフランシスコを拠点とするOpenAIがかけたコストよりはるかに少なく、かつ米国当局が中国への半導体販売を制限しているなか性能的に劣るチップを用いて高度なAIを開発したとみられているからである。
カリフォルニア大学バークレー校などの研究者が運営する評価プラットフォームChatbot Arenaによると、今月初めにリリースされた「DeepSeek R1」モデルは、ユーザー投票で世界第4位の人気AIモデルとなっている。同プラットフォームによれば、この製品は昨年12月にリリースされたOpenAIの「o1」モデルを上回る評価を獲得している。
DeepSeekは今月初めの製品発表時、R1モデルについて「複雑な推論や高度な数学的問題を解く能力を備え、OpenAIのo1モデルと同等の性能を持つ」と主張した。梁は先週、AIに関する政府会議の一環として李強(リー・チャン)首相と会談している。