マスクは、ドイツ東部のハレで開催された選挙集会にリモートで登場し、AfDのアリス・ワイデル党首やその支持者らに対し、国家の誇りを失わないよう呼びかけた。「ドイツの文化や価値観を誇りに思うのは良いことであり、すべてを希薄化するような多文化主義の中でそれを失ってはならない」と、彼は語った。
テスラのCEOであるマスクは、2月23日の総選挙でワイデル党首がドイツの首相になることを望むと語り、同国が欧州連合(EU)の「過剰な官僚主義」に苦しんでいると指摘した。
またマスクは、ドイツが「過去の罪悪感に過剰に焦点を当てすぎている」と語り、「子どもたちは親の罪、ましてや曾祖父母の罪について罪悪感を抱くべきではない」と主張した。
ワイデル党首は、マスクの支持に感謝を表明し、トランプが掲げる米国第一主義に重ねて「ドイツを再び偉大にする」と語った。
マスクは、約4500人の観衆に向けて、「この選挙には文明の未来がかかっている」と語り、「AfDにとても期待している。あなたたちは、ドイツの未来にとって最良の希望だ」と付け加えた。
マスクは以前からAfDを支持し、ワイデル党首を擁護してきた。彼は、昨年12月に公開されたドイツの新聞であるウェルト紙への寄稿で、AfDを「右翼の過激派」とみなす風潮に異議を唱えていた。彼は、この寄稿で、ワイデル党首が同性愛者であることを挙げて、「彼女がヒトラーのように思えるか? あり得ないだろう!」と主張した。マスクはまた、ドイツが「停滞に慣れすぎている」と批判し、AfDが「この国を衰退から救う」と主張した。
2月の選挙で有力視される右派政党
マスクは、今月初めに行われたX(旧ツイッター)のライブ配信でワイデル党首と対談し、彼女を称賛すると同時に、彼女の反移民政策を支持した。AfDは、来月23日に予定されているドイツの総選挙に向けた世論調査で、キリスト教民主同盟(CDU)とその姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)に次ぐ支持を得ていると報じられている。一方、マスクは、20日に行われたトランプ大統領の就任イベントで行ったジェスチャーについて、強い非難を浴びている。一部の人々は、彼のジェスチャーが、ドイツとオーストリアで違法とされるナチスドイツ時代の「ジーク・ハイル」敬礼だったと主張した。しかし、米国のユダヤ人団体である名誉毀損防止連盟(ADL)は、「マスクは熱狂的な瞬間に、ぎこちないジェスチャーをしたのであって、ナチス式の敬礼ではないようだ」とマスクを擁護し、「全ての人々がもう少し寛容であるべきだ」と呼びかけた。
しかし、ADLはその後、マスクがナチスを率いたヒトラーの腹心、ルドルフ・ヘスらの名前を引き合いに出したジョークを投稿したことを受けて、この擁護を撤回した模様で、「ホロコーストは冗談にするべきものではない」と警告した。
(forbes.com 原文)