試行錯誤の時代
その当時のアミンによる会社運営のアプローチは、小規模な実験を繰り返し、それに応じてプロダクトの方向性を調整するというもので、後の大きな成功につながる「何か」が見えていたわけでなかったと、彼は述べている。2019年にセコイアが主導したシリーズAラウンドを行った際、Clayはまだその何かを見つけ出していなかった。アミンは資金調達を公表せず、会社をあまり目立たないものにしておくことを選んだ。共同創業者のルサンは、その頃すでにマーケティング分野に注力すべきだと考えていたが、アミンは、より大きな可能性を感じさせる方向性を模索し続けていた。
「私たちは明確な方向性を見いだせずにいた」とアミンは認めている。しかし、このような期間は、Clayとアミンが最終的に確信を持って、会社の方向性を絞り込んでいくために必要なプロセスだった。「私は、このようなフラストレーションの時代を経て、進むべき道を探り当てた」とは語る。
その後の再フォーカスの結果、ルサンを含む複数のメンバーが退社した。一方で、ヒラリー・クリントンの大統領選挙キャンペーンに関わったバルン・アナンドが新たな共同創業者として参加したClayは、データプロバイダーとの連携を強化し、もはや必要のない機能を削除することで、プロダクトを精緻化する作業に取り組んだ。
独自の「AIエージェント」を構築
OpenAIのChatGPTに代表される生成AIの爆発的普及は、会社にとって追い風になった。Clayは、初期の段階からユーザーが自分のデータを自然言語で操作するためのツールを導入した。そして、アンソロピックとOpenAIを顧客とした同社は、GPTとClaude(クロード)の両方のAIモデルとシームレスに連携する独自のAIエージェントを構築した。Clayの創業者たちは、このツールの能力が今後さらに向上していくと述べている。さらに、今年は、顧客が内部で保有する一次データを活用することで、ターゲティングを強化する予定だと語った。