仕事ですばらしい結果を出したのに、同僚や先輩から、その成果をちゃんと評価されなかったことはないだろうか? 最小限の賞賛しか与えられなかったり、もっと努力しようとする意欲を削がれたりしたことはないだろうか? それは、単なる無関心というより、もっと根深い何かを経験したのかもしれない。
さらにひどいケースとしては、もっと上を目指そうとする努力を積極的に阻まれたり、革新的だがしっかりしたアイデアを提示したのに批判されたりする場合もある。
そうした同僚や先輩の行動は、「トールポピー(背の高いケシ)症候群(TPS)」として知られる現象を反映している。これは、顕著な成功を収めた人、特にその功績によって目立つようになった人を批判したり、貶めたり、恨んだりする傾向を指す。
この言葉は、野原で最も背の高いケシを刈り倒して、他のケシと同じ高さにする、という比喩に由来する。平等のために、成績優秀者を「地面の近くに引き戻そう」とする社会的衝動を象徴している。
この言葉は、オーストラリアやニュージーランドのような文化圏で最もよく知られているが、さまざまな文化圏で、別の表現や行動を通して表現される世界的現象だ。
・日本:出る杭は打たれる
・オランダ:地面の上に頭を出すな
・チリ:「チャケテアール(Chaquetear)」。翻訳すると「ジャケットを引っ張る」となり、誰かが前に進むのを妨げるという意味になる
・スカンジナビア:目立つことを嫌い、謙虚さを強調する「ヤンテの掟」(1933年にデンマークで出版された小説に登場する架空の村「ヤンテ」にある架空の戒法)
「トールポピー症候群」の語源とされるのは、ローマの歴史家リウィウスが引用した、古代ローマの「傲慢王」タルクィニウスの話だ。王の息子セクストゥスが、近隣の都市に潜入する方法について助言を求めたとき、タルクィニウスは、庭で最も背の高いポピーの頭を切り落とした。セクストゥスはこれを、この都市の有力貴族を排除せよというメッセージと解釈し、それを実行した。その結果、ローマはこの都市を容易に征服できたという。
この物語は、目立つ者や成功する者が、しばしばその成功を攻撃されたり、陥れられたりすることを象徴している。
こうしたトールポピー症候群は、文化的伝統に根ざしているものかもしれないが、その影響は、一定レベル以上を目指そうとする誰もが感じるものであり、解決すべき価値のある普遍的な課題といえる。