1. 「野心的すぎる」と批判される
謙虚さや謙遜、平等主義を重んじる文化では、目立つ人物は、「野心的すぎる」「がんばりすぎている」と認識され、社会からの非難に直面するかもしれない。集団の上に立つ個人は、集団の調和を脅かす存在とみなされることもある。こうした気持ちは、目立つ人を「列に戻そう」とする取り組みにつながる。加害者は、「彼女はあまりにも傲慢だったから、自業自得だ」というような否定的な発言をして、自分たちの行動を正当化することさえある。
トールポピー症候群は多くの場合、恐れや不安から生じる。それは、人々の自分自身に対する認識の反映だ。他の人が自分より大きな成果を上げると、自分の不甲斐なさを感じるきっかけとなり、不愉快さにつながり得る。そのため、批判や排除といった防衛的な行動をとるわけだ。
これは特に、成功したがゆえに差別に直面している女性に当てはまる。学齢期の成績優秀なアスリートを対象としたトールポピー症候群に関する研究では、女子に対するいじめの事例が見られ、学校生活やウェルビーイングも悪化していたことが明らかになっている。
歴史的に見れば、「集団の結束」は生き残るために不可欠だった。この調和を乱し、目立ったり、支配的に見えたりする者は、しばしば排斥された。こうした本能は、現代の社会行動にも残っており、トールポピー症候群の一因となっている。しかしその結果、トールポピー症候群の犠牲者は、しばしば自尊心の低下に苦しみ、はみ出し者という状態から抜け出して周囲に溶け込むのに苦労する。