ウクライナ軍が現在、戦車の運用で確保しているとみられる優位性は、2022年時点の状況からの逆転を意味する。当時はロシア側が砲兵戦力や航空戦力で圧倒的に優位に立っていたので、ウクライナ軍の旅団が「戦車で直接照準射撃を行うことはめったになかった」(同軍事ブロガー)。これは小型ドローンやジャマー(電波妨害装置)が戦場を一変させる前のことだ。
新たな動向の例外はロシア西部クルスク州方面だ。同州ではウクライナ軍の強力な部隊が、昨年8月に占領した650平方kmほどの突出部を保持するために戦っている。ロシア国防省はクルスク州で反撃している連隊や旅団に、FPV(一人称視点)自爆ドローンのなかでも最も先進的な
光ファイバー通信タイプを配備している。有線で制御される光ファイバードローンは従来の手段では妨害できない。
ロシア軍の光ファイバードローンは、ウクライナ軍が今月5日に突出部の北東周縁で行った
攻撃を鈍らせるのにも寄与した。このタイプのドローンがウクライナ軍の戦車を攻撃した証拠は数多くある。それには、ウクライナ軍の保有する最も高性能な戦車である米国製
M1エイブラムスやドイツ製レオパルト2も含まれる。
とはいえ、前出の軍事ブロガーによると光ファイバードローンは不足しているらしく、ロシア国防省はクルスク戦線のような「優先する方面」にしか給付していない。したがって、ほかの方面のロシア軍部隊は、動作不良を起こすことが多いドローンでやりくりせざるを得ず、きちんと動作するドローンもすぐにウクライナ側のジャミングによって落とされることになる。
ウクライナ側がドローン分野で得た優位性は、戦争が進むにつれて戦車に関しても優位性をもたらすことになった。ロシア側は対戦車ミサイルでその優位性を減じているようだが、ウクライナ軍が戦車の運用面の優位性を生かしてロシア軍による最近の前進を押し返せていないのはやはり、以前から続いている歩兵不足が最大の原因かもしれない。
同じ軍事ブロガーはウクライナ軍について、ドネツク州の「広大なエリアを保持するための歩兵が不足している」にせよ、技術面では「依然として手強い敵だ」と警告している。
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forbes.com 原文)