2. 「対面でのコラボレーション」の重視
クリス・スタインは、実家の地下室で在宅勤務しているソフトウェアエンジニアだ。オフィス回帰のトレンドに、多くの従業員が抵抗や不満を感じるなか、スタインは自ら出社し、同僚とのつながりを取り戻すことを決めた。スタインは、(同僚ではなく)ポスターやアート作品に囲まれた現在の仕事部屋で、「わからないことがあっても、誰かを捕まえて聞くことができない」と語った。「Slackのレスポンスやメッセージをつくらなければならない」
スタインにとっては、何かが欠けていた。そして、それは独り暮らしをするために借りるアパートではなかった。スタインは、米国バージニア州の郊外から、首都ワシントンまで通勤するというかたちでオフィスに戻ることを決断した。
スタインは、自ら選んだ90分の通勤について、NPRにこう語っている。「通勤中、人に話し掛けてみると、会話が始まる。そして、自宅に一人きりではなく、ただ人と一緒にいるだけで、本当にいい気分で一日を終わることができる」
在宅勤務ですべてが事足りる人に、社内で、オフィス回帰を促す有機的な動きがあるかどうか、チェックしてみよう。
3. 自立した働き方と、「友人」とのつながり
現在の経済情勢で、サポートのある安定した職場環境は、目的意識と帰属意識をもたらしてくれるという意味で、大きな違いを生み出す。米カリフォルニア大学バークレー校のリポートでは、職場における課題に対応する際に不可欠なものとして、帰属意識が挙げられている。Z世代が直面している不安の一部に関しても、帰属意識は重要かもしれない。結局のところ、問題をひとりで抱え込む必要がないとわかれば、物事は楽になるものだ。前述のリポートでは、「職場における健全な人間関係は、学習と知識の共有を促進し、定着率とエンゲージメントを高め、イノベーションを促し、パフォーマンスを向上させる」と書かれている。
Z世代にとって、2025年の課題はどういうものになるだろうか。現代の「つながり」は、真のつながりを求めることよりも、部族の一員と見なされることを重視している。そして多くの場合、こうした部族のメンバーは、個人的なレベルでは互いのことをほとんど知らない。例えば、ソフトウェアエンジニアとして働くことは、組織内のある部族の一員になることを意味するが、それはつながりをもたらすだろうか? 特に、自立が重視される時代において、つながりはどうなるだろうか。
興味深い逆説だが、個人的なレベルで知っている人たちと旅を共有すれば、より自立的になりやすい。Gallup(ギャラップ)が2024年に行なった調査によれば、職場で友人をつくることは、従業員エンゲージメントと仕事における成功の鍵を握っている。特に、上司が削減され、セルフリーダーシップが重要視される時代においては重要だ。