欧州

2024.12.06 17:00

ロシア軍の北朝鮮製車両に初の損害か ウクライナ軍部隊「プルセ-4を撃破」と主張

Shutterstock.com

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ウクライナに対するロシアの全面戦争の前線に北朝鮮製の対戦車ミサイルシステムとされる車両が出現してから4カ月後、ウクライナ軍のドローン(無人機)部隊はその1両を仕留めたもようだ。

プルセ(火の鳥)-4対戦車ミサイルの発射車両とみられている6輪車両は、ウクライナ北東部ハルキウ州のどこかの道路を走っていた。ウクライナ陸軍第3独立強襲旅団のドローン部隊「ビトロロム」のFPV(一人称視点)自爆ドローンがそれを見つけ、突っ込んでいった。

別のドローンが上空から撮影した映像には、車両で爆発が起こったらしい様子が映っている。車体上部の発射機に8発装填されているプルセ-4の一部がクックオフ(高熱などによる自然爆発)したのかもしれない。ビトロロムグループは「プルセ-4が撃破されました」と主張し、「われわれは敵を毎日撃破しています」と誇っている。
実際にこれがプルセ-4の発射車両だったのなら、ロシア側の北朝鮮製火力支援兵器に対する攻撃が確認された初の事例になる。北朝鮮はロシアに数千〜1万強とされる歩兵を派遣しているほか、火力支援兵器の供与も拡大している。北朝鮮は未特定の数のこの車両のほかに、M1989自走砲M1991多連装ロケット砲も合計で数十以上ロシアに送っているらしい。

北朝鮮からの人員や装備の支援はロシアの戦争努力にとって不可欠なものになっている。米国で来年1月20日にドナルド・トランプ次期大統領が就任し、この戦争をめぐる政治情勢が激変する可能性を見越して、ロシアはトランプ新政権の発足までにできるだけ多くのウクライナ領土を奪い取り、できるだけ多くの自国領土を奪い返そうと躍起になっている。ロシア軍はウクライナ軍の陣地に突撃グループを次から次に送り込んでは損害を重ね、ここ数カ月、1日に1200〜2000人の人員、最大で100点ほどの重装備を失っている。

こうした記録的な損害は、ロシアが新兵を採用、訓練、配備したり、代替の装甲車両を新造もしくは古い在庫から復元したりできる能力を超えている。2022年2月以来、ロシア軍がウクライナで被った累計の人的損害は75万人近くに達する可能性があるほか、重装備の損害は確認されているだけで1万5000点ほどに達している。ウクライナ側の損害はもっと少ない。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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