直近の損害は11月29日の小競り合いで発生した。「VDV(ロシア空挺軍)のBMD-2(歩兵戦闘車)3両がわれわれの陣地に突進してきましたが、またしても、わたしの中隊の設置した地雷に阻まれました」と、この中隊に所属するドローン(無人機)操縦士のKriegsforscher(クリークスフォルシャー)は報告している。3両はその後、大砲やFPV(一人称視点)ドローンによって撃破されたという。
大破したこれらのBMDは、8月6日にウクライナ軍の強力な軍勢の侵攻を受けて以降、クルスク州に散乱することになったロシア軍装備の残骸のほんの一部にすぎない。ある綿密な調査によると、8月6日から11月25日までに撃破、遺棄もしくは鹵獲されたロシア軍装備は364点にのぼった。
同じ期間にウクライナ軍装備の撃破・遺棄・鹵獲数は319点とロシア側よりも少なく、損失の大半は侵攻初期に出したものとなっている。一般に損失は防御側よりも攻撃側のほうが多くなるものなので、クルスク州でウクライナ軍が攻撃から防御に転じ、ロシア軍が反撃に出ると、損失比率はウクライナ側有利に傾くことになった。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領から突出部の排除を命じられたロシア軍が反撃を加速させたため、10〜11月に損失比率はさらに広がることになった。それは近々、極度に悪化しそうだ。というのもロシア側は、米国でドナルド・トランプ次期大統領が就任する来年1月20日からほどない時期をめどに、クルスク州での勝利を宣言することを目指していると考えられるからだ。トランプの就任を機に、米国と同盟国、あるいはウクライナのような支援国との関係は新たな時代を迎えることになり、それは混沌としたものになるおそれがある。