「包括的な医療へのアクセスが限られていることは、世界中の人々、特に交通やインフラが限られている遠隔地に住む人々に影響を及ぼしている。H3ヘルスキューブは、既存のインフラに依存せずに充実した医療へのアクセスを提供することでこの問題を解消し、病院や地域の診療所にかかる負担を軽減することができる」と、ユニドック・ヘルスのアントニオ・バルダッサーレCEOは声明の中で述べた。
H3ヘルスキューブは、輸送用コンテナの約3分の1の大きさの自己完結型バーチャル・クリニックだ。ユニドック・ヘルスによると、センサーや通信技術、医療機器が搭載されており、遠隔地で医師が不在でも患者は総合的な診療を受けられるという。
H3ヘルスキューブは、衛生設備、照明、セキュリティーシステム、椅子、ベッド、キャビネット、車椅子用スロープを備えている。また、コンピュータやウェブカメラ、電源、モニター、キーボードも完備している。医療機器に関しては、以下のものを標準装備している。
・USB式の電子聴診器
・SpO2(血中酸素飽和度)、血圧、脈拍、体温を測定できるオールインワンバイタルサイン・モニター
・電子スケール
・ワイヤレスのタッチパネル付き12誘導心電計
・超音波診断装置
・血液と尿の迅速な検査が可能な測定器TD-4216
ユニドック・ヘルスによると、H3ヘルスキューブにはバイタルサインモニターや検査機器、大腸内視鏡検査機器、CTスキャナーなど400以上の医療機器をオプションで統合することが可能だという。
ウクライナの病院にも配備へ
最初に出荷される5台のH3ヘルスキューブは、イタリアの人道団体であるアイウティアモリ・ア・ヴィヴェレなどに発送される。同団体は、この機器を紛争によって医療が著しく制限されているウクライナとガザ地区に配備する予定だ。また、病院から遠く離れたイタリアの辺境の村、アリアーノにも1台が輸送される。ホープ・ウクライナ財団は、7月のミサイル攻撃で被害を受けたウクライナ最大の小児病院、オフマディト病院に1台を配備する予定だ。アリアーノ市長のルイジ・デ・ロレンツォは、地域の病院から遠く離れていることが同地域の課題であるとし、「これは、アリアーノとその周辺地域の地域医療支援を改善する一歩となる」と、声明の中で述べた。
この課題はイタリアだけのものではない。
米国では、約3000万人が最寄りの病院まで車で60分以上かかる「医療砂漠」に住んでいる。これらの地域には地方だけでなく、シカゴやロサンゼルスなどの都市部も含まれる。米国政府は、地方では2025年までに2万人のプライマリ・ケア医が不足すると予測している。
このような状況において、H3ヘルスキューブは医療の未来となり得るのだろうか。医療AIが進歩すればその可能性はあるだろう。そうならなかったとしても、H3ヘルスキューブによって専門医や一般医は、遠隔地や紛争地域、自然災害に見舞われた地域の人々の健康に良い影響を与えることができるようになるだろう。
(forbes.com 原文)