健康

2024.12.05 11:30

「安楽死」法案を可決した英議会、「死を迫られる弱者」の懸念も

2024年10月16日、ロンドン中心部にある国会議事堂(ウェストミンスター宮殿)前でプラカードを掲げ、安楽死合法化の支持を訴える「尊厳ある死(Dignity in Dying)」の活動家たち(Getty Images)

制定に至るまでには、たとえばどのような「薬物」が承認され、どのように調達されるかなど、審議されるべき多くの課題がある。医師による自殺ほう助が国民健康保険制度を介して提供されるのか、また、その場合のプロセスなど具体的なシステムについても審議しなければならない。

英国では国民保健サービス(National Health Service)を通じて医療機関を無料で利用でき、それにはホスピスでの緩和ケアも含まれる。介護など高齢者向けの保健福祉サービスは私費で利用しなければならないが、政府による補助金を受給できる場合もある。

米国では安楽死は合法か?

米国にも「医師による自殺ほう助」が合法の州がある。カリフォルニア州、コロラド州、ハワイ州、メイン州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、オレゴン州、バーモント州、ワシントン州、そして首都のワシントンD.C.だ。この他にも現在、アリゾナ州ニューヨーク州など、十数州が合法化を検討している。

支持派は「医師による自殺ほう助」という選択肢は、末期患者に寄り添い、主体性、尊厳を与えるものだと主張する。一方、反対派は、高齢者などの弱者が周囲に負担をかけないよう死を選択する可能性を懸念する。この他、宗教上の理由で反対する人もいる。

なお、米国人の多くは医師による自殺ほう助や、医師が要請に応じて患者の命を絶つ安楽死を支持している。2024年に発表されたGallupの世論調査では、米国人の約66%が医師による自殺ほう助を支持、71%が医師が患者の命を絶つ安楽死を支持しているという結果が出た。

forbes.com 原文

翻訳=猪股るー

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