シリーズAの時点では実質的に自分ひとりで開発も営業もやっていて、有償顧客を10病院ほど獲得できたことに自信をもっていたのですが、組織をつくらないとこの先は回らなくなるということをうまく諭してくれて、小林さんは私のなかにあった万能感をいい意味で打ち消してくれた。おかげさまで「NEXT Stage ER」は大病院の急性期医療向けではデファクトスタンダードといえるくらいになってきました。医療データサービスのほうも売り上げが4億円まで増えていて、事業として立ち上がってきました。
小林:園生さんを信じて、じっくりと待ち続けたかいがありましたね。足元ではお金にならなくても、地道に病院との関係をつくってきた結果、ようやく花が開きつつあります。
園生:医療データの事業は少なくとも3年、しっかりとした収益源になるには5年以上かかると思っていました。だからこそ、初期にVCを入れてマネタイズをせかされることは防ぎたかった。その勘所がわかる小林さんがいてくれたことは心強かったです。この先は、急性期医療の領域でしっかりとプレゼンスを高めていきたいですし、希少疾患やがんなどの領域でも、より高本質なデータを提供できるようにして、この領域のトップランナーを目指していきます。
小林:すでにTXP Medicalのプロダクトを導入している大病院は、システムに障害が出ると救急外来部門が混乱に陥って機能しなくなるくらい、重要な存在になりつつあります。コアな部分をしっかりと伸ばしていきながら、将来の種をまいて成長していきましょう。
こばやし・ひろあき◎東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)パートナー。救急・集中治療医として東京大学医学部附属病院などで臨床業務に従事。医療機器スタートアップや米国ミシガン大学MBA取得を経て、2019年にUTEC参画。
そのお・ともひろ◎TXP Medical代表取締役。東京大学医学部卒。東京逓信病院、東京大学医学部附属病院・日立総合病院で主に救急・集中治療の臨床業務に従事。2017年8月に自身で開発したNEXT Stage ERを中心に事業化、TXP Medicalを創業。