2. ソーシャルメディアは、「本当に好きなこと」からあなたの気をそらす
ソーシャルメディアから離れたときに初めて生まれる、圧倒されるほどの自由時間は、「私は実際は何が好きなのか?」という問いに向き合うことを強いてくる。多くの人にとって、自然な第一歩は、読書や音楽、芸術、工芸など、以前やっていた、あるいは、放置していた趣味に戻ることだろう。しかし実際に戻ってみると、前述したような「学習の遅れ」や「認知力の低下」に、すぐ気付くかもしれない。つまり、これらの趣味は以前ほど簡単でやりがいがあるとは感じられないということだ。
Computers in Human Behaviorに発表された2016年の研究は、この気付きをもう少し大きな枠組みから検討している。楽しかったはずの活動や趣味に喜びを感じられなくなるような「快感のない状態」は、インターネット中毒や過剰なスクリーンタイムと強く関連することがわかったのだ。インターネット中毒が無快感症を強化したり、さらに深刻化させる可能性は極めて高い。
私たちは多くの場合、ソーシャルメディアやインターネットがどれほど脳の報酬系を刺激しているかに気付かない。そうした刺激は即時的かつ表面的で、関与や努力をあまり必要としない、短く強い快楽をもたらす。
多くの人がそうであるように、あなたもスクリーンタイムが過剰なのであれば、デジタルデトックスを実践することで、スクリーンからもたらされる即座の満足感に、自分がどれほど依存していたかが浮き彫りになるだろう。時間が経つにつれ、この依存は他の活動、特に忍耐と努力を要する活動を、やりがいのないものに感じさせてしまうのだ。
長い本を読んだり、かつては楽譜なしで弾けた音楽を演奏しようとしたり、手の込んだ編み物や木工に取り組んだりすることは、退屈に感じたり、つまらないと感じたりするかもしれない。これらの趣味を再開しても、やはり無意識に手を休め、スマートフォンを手に取ってしまうかもしれない。オンラインで普段やっていることの方が、以前やっていたオフラインの趣味より価値があると感じるかもしれない。
重要なのは、そうした状況は、趣味そのもののせいでも、あなた自身のせいでもないということだ。簡単に言えば、「すぐにドーパミンが放出されるオンラインの活動」に依存すればするほど、オフラインの体験に喜びを見いだすことが難しくなるのだ──たとえ、それがかつて大きな喜びをもたらした趣味だったとしても。
ソーシャルメディアは、私たちが「本当の意味で楽しむこと」から気をそらす。長期的に見て、より大きな見返りをもたらすことに両手を使うより、即座の報酬を得るために指一本でスクロールする方が簡単なのだ。