キャリア

2024.11.26 11:00

些細な違反で従業員を解雇する「狡猾なレイオフ」が米国で増加

Getty Images

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米国では、有名企業が些細な理由で従業員を解雇する事例が続いている。それほど重大でないポリシー違反を、当事者のキャリアを一変させるような決定の根拠として用いるこうした行為は、「狡猾なレイオフ(Sneaky layoffs)」と呼ばれる。

仕事をしていると、誰もが時おり、勤務先のポリシーを破ることはあるものだ。しかし一部の雇用主は、軽微な違反行為を解雇の理由として用い、従業員を強権的に締め付けている。

会社から与えられる手当の乱用や「軽微な規律違反」で従業員を解雇する傾向が高まっており、一部の人々から「狡猾なレイオフ」と呼ばれる状況に向かっている。例えば、全世界で40万人近くの従業員を抱える会計事務所・コンサルティング企業のEY(アーンスト・アンド・ヤング)は、複数の研修動画を同時に視聴している現場を押さえられた、複数の従業員を解雇した。

フェイスブックの親会社メタでは、25ドル(約3840円)の食事手当を食事以外の品物に使ったことで従業員が解雇された。メタと言えば、社内に置かれた無料の自動販売機でヘッドフォンやマウス、キーボードを提供していることがTikTokで話題を呼んだ企業だ。それを考えると、この解雇ポリシーは、「らしくない」行いにも見える。だが本当にそうだろうか?

手当の乱用か権利の行使か? 「狡猾なレイオフ」の内幕

英デイリー・メール紙の記事によると、マット・テデスコという人物は、食事手当で食料品を買ったことを理由に、十数人の同僚と共にS&Pグローバルを解雇されたという。「食料品も食べ物であることに変わりはないのでは?」と思った人もいるかもしれない。同氏はその後、Hearst Media(ハースト・メディア)に転職し、役職を得ている。テデスコはデイリー・メール紙に対し、「今は職を得るのが難しい。私も数カ月かかった」と明かしている。

テデスコの体験は、従業員に与えられる手当や福利厚生に関して、軽微な規律違反をしたことのある人たちにとっては戒めとなる話だ。「従業員の視点から言わせてもらえば、私が得た教訓は、『どんなものであれ、手当の乱用はしてはいけない』ということだ。リスクを考えると、こうした行為を行う価値はない」と同氏は語っている。

従業員と雇用主のあいだで繰り広げられる権力闘争は、今は企業の優位に傾いているようだ。特に、従業員数を減らすために、規則を厳格に適用している企業についてはそれが当てはまる。

企業は、「不適切と考える行動について、見せしめ的な行動をとろうとしている」。ウォールストリート・ジャーナルの記事でこう指摘したのは、人事ソフトウェア開発企業Rising Team(ライジング・チーム)のジェニファー・ダルスキー最高経営責任者(CEO)だ。同氏によれば、一部の企業は、単に「腐ったリンゴ」や余剰人員を排除しているだけだという。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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