一部の企業では、軽微なポリシー違反に厳しい報いが与えられる場合がある。こうした事例は、同じ職場で働く他の従業員たちに対し、何が許容され、何が許容されないのか、メッセージを送る役割を果たしている。
ポリシー違反を理由とする「狡猾なレイオフ」を避けるには
キャリアを確実なものにしたいのなら、勤務先の企業のポリシーに抵触しないようにするのが一番の得策だ。特に雇用市場が厳しい状況で、リスクを軽減するために心がけたい、3つの方法を以下に紹介しよう。1. 就業規則を読む:勤務先のポリシーを把握している、とあなたは断言できるだろうか? 人事チームはポリシーを熟知しているので、違反の疑いで呼び出された時に、「ルールを知らなかった」という言い訳は通りそうもない。特に、手当や福利厚生に関しては、勤務先が従業員に求めていることをよく理解し、一線を越えないように気をつけよう
2. 領収書を保管する:勤務先に提出できるよう、出費の記録をつけておこう。出費について疑義が生じた場合は、上司に確認するのが常に賢いやり方だ。ただし、実際にお金を払う前に相談するのが肝心だ。出費に関しては、事前に許可を得る方が、事後に多目に見てもらえるよう懇願するより楽なのが世の常だからだ
3. 狡猾なレイオフの兆候を察知する:企業の経営状況が厳しい時には、規則が厳しくなることがあり得る。収益が減れば、締め付けが増えるものだ。「兆候を察知する」とは、単に企業のポリシーにとどまらず、いろいろなことにアンテナを張っておくということだ。勤務先の財務状況についても気を配っておこう
2024年10月、米国の雇用はわずか1万2000人の増加にとどまった。これは、コロナ禍以降では最も低い伸び幅だ(JPモルガン調べ)。一方で米商務省は、全米で今でも820万人分の求人があるとして、人手不足がさらに深刻化していると指摘している。
ではなぜ、軽微な規則違反による狡猾なレイオフが起きているのだろうか? どうやら一部の企業は、人件費を増やすのではなく、減らす方法を模索しているようだ。
米国の中小企業の協会、全米独立企業連盟(NFIB)の調査では、驚くことに、事業主の40%が、補充することができない欠員が発生していると回答している。一方で、NFIBのチーフエコノミスト、ビル・ダンケルバーグはこう指摘する。「小規模な事業主は、かつてないほどに今後に不安を抱いている。将来が見通せないため、事業主は、設備投資や在庫に資金を注ぎ込むことに消極的だ。特に、インフレや資金調達コストの重圧が最終的な収支にのしかかっているだけに、なおさらだ。セールが行われるホリデーシーズンに向けて、多少の期待感はあるものの、多くの中小企業の事業主は、今後の事業状況が改善するかどうか、疑問を抱えたままだ」
労働市場の行方が不透明なだけに、軽微な規則違反で解雇されるには、今は非常に悪いタイミングと言えるだろう。さらに言えば、このような状況では、職があること自体が特権のようも思える。
(forbes.com 原文)