「僕らがやりたかったのは、バカみたいなコインで10倍のリターンが得られることを、みんなに分からせることだった。これまでは、コインを立ち上げるコストが高すぎた」とコーエンは語る。
Pump.fun上のコインの取引価格は、売買の量に応じてトークンの価格を調整する数式のボンディングカーブによって決定される。すべての新たなトークンは5000ドル(約77万円)の時価総額からスタートするが、この価値は完全に無から生み出されている。
もし十分な買い手が現れ、時価総額が9万ドル(約1400万円)に達すれば、トークンは自動的にRaydiumに移動される。Raydiumは2000以上の暗号資産を取引しており、ここに上場されることは、株式市場における新規株式公開(IPO)に近い。現在、Pump.funで作成されたミームコインのうち、毎日、全体の1.5%程度の340ほどがRaydiumに昇格している。
「ユーザーがその仕組みを知る必要は全くない」とコーエンは語る。「バカバカしいし、複雑すぎる。ミームコインを取引したいなら、時価総額を知る必要はない。ただ買って楽しめばいい」
ミームコインで億万長者になるには?
ミームコインで億万長者になるためには何が必要か? 理論的には、巧妙なアイデアとJPEG画像があればよい。しかし、現実には成功するSNSのスターと同様に、ブランドを築き、フォロワーを獲得するための絶え間ない努力が求められる。これまで20種類のミームコインを作成し、毎日3~4時間をYouTubeでのミームコイン取引の動画作成に費やしているKクリプトは、「ほぼフルタイムの仕事のようだ」と述べている。「Pump.funのおかげでさらに競争が激しくなった」
別のやり方で成功を収めたコインとしては、AIボットのヤギに関するつぶやきから生まれたミームコインのGoatseus Maximus(GOAT)が挙げられる。このコインの発端となったのは、AI学者のアンディ・エイリーがX(旧ツイッター)で立ち上げたTerminal of Truth(真実のターミナル)と呼ばれるボットだった。このボットは、世の中のさまざまな事象についてつぶやき始め、その多くは、単なる下ネタだったが、アンドリーセン・ホロウィッツ創業者のマーク・アンドリーセンから5万ドル(約770万円)相当のビットコインを与えられたことで注目され、今では17万人を超えるフォロワーを持っている。
Terminal of Truthは、10月11日に「新たなヤギの種を創生し、『Goatseus Maximus』と呼ぶことにする」とXに投稿した。すると、その投稿を見たPump.funのユーザーが、そのヤギのミームコインのGOATを立ち上げて、それを承認して欲しいと持ちかけた。Terminal of Truthの承認を受けたGOATの時価総額は、発行から1週間後には4億ドル(約619億円)を突破し、約1カ月後には8億4000万ドル(約1300億円)に達した。