NASAは火星に複数の探査機を送り込んでおり、探査車による地表面からの観測で、火星にかかる雲の撮影に成功した。探査車キュリオシティのカメラがとらえた火星の雲は、幽玄で靄(もや)がかり、うっすらと広がった煙のような様相を呈している。
プロジェクト「Cloudspotting on Mars: Shapes」の参加者は、地上からではなく上空から雲を観察する。MAVENに搭載された紫外線撮像分光装置(UVIS:Ultraviolet Imaging Spectrograph)が送ってくる画像は、雲に反射する紫外光を可視化したもので、雲は白く写って見える。写っているものが雲なのか、あるいは氷に覆われた地表面なのか判断に迷うときは、プロジェクトサイトに設けられたチャット掲示板で相談して助言を受けることができる。
MAVENはNASAの火星探査ミッションの中ではそれほど知名度が高くないかもしれないが、火星から水がどのように失われていったのかなど、水にまつわる火星の歴史を解き明かす上で重要な役割を担っている。
水は生命を構成する主要な物質であり、「地球外生命体は存在するのか」という人類最大級の疑問の答えに直結する要素だ。NASAの火星探査車キュリオシティとパーシビアランスは、はるか昔の火星に生息していた微生物の痕跡を調査している。MAVENは、今やすっかり乾燥した惑星である火星の過去をひも解くデータを集め、かつて居住可能であったかどうかを解明しようとしている。
火星の雲の観測プロジェクトにはすでに600人ちかくが参加しているが、さらに多くの協力者が求められている。「この研究は、現在の火星の大気状態に関する知見を広げるために不可欠であり、ひいては火星の歴史的な気候とその変遷を理解するカギとなる」とNASAは呼び掛けている。
独特な雲の形に興味があり、壮大な宇宙探査に参加してみたい人は、応募を検討してみてほしい。美しい火星の画像を見て科学を堪能できる絶好の機会だ。
(forbes.com 原文)