最低限の訓練とはどの程度のものなのかは、28歳のあるロシア兵の例が参考になるだろう。7月11日にロシア軍に入隊したこの兵士は、数週間後にはウクライナ東部の前線に送られ、8月13日、ドネツク州の廃墟化した都市トレツク方面で初めて戦闘任務に就いたと報告されている。そして、早くもその6日後に負傷している。
急ごしらえの計画や冷淡な指揮官によって、ロシア兵は極度の危険にさらされている。ロシア軍の装甲兵員輸送車がウクライナ軍の戦車に接近するといった事例では、必ずしも乗員だけに責任があるわけではない。それは乗員がろくな訓練を受けていなかった場合でもだ。乗員は友軍と合流するように指示されていて、ウクライナ軍の車両を味方の車両と勘違いしたのかもしれない。あるいは、指揮官から近くの戦車はすでに撃破されていると伝えられていて、警戒しなかったのかもしれない。
ともあれ、ロシア軍は10月以降、攻撃をエスカレートさせるにつれて損害もかさんでいる。ウクライナ軍参謀本部の10月28日の発表によれば、ロシア軍は1日で人員を1700人近く、戦車やその他の装甲戦闘車両を計50両近く失っている。1日の人的損害数としては、この戦争で最多とまではいかなくともそれに近い水準だ。
ロシア国防省は新たな志願兵への報酬を増額するといった方法で、失った人員の一部を補充している。さらに、損耗の激しい前線部隊の補強では、数千人以上とみられる北朝鮮兵も当てにしている。北朝鮮部隊の第1陣は27日までにトラックでクルスク州の前線に入り、第810海軍歩兵旅団と合流したもようだ。