CDSは24日時点で、ロシア軍の「ツェントル(中央)」軍集団は「向こう数日でセリドベを占領する可能性が高いものの、同市の占領はポクロウシクが占領されることを意味しない」と書いていた。セリドベの攻略戦で「(ロシア軍の)強襲部隊は消耗し、戦闘効率が低下するだろう」と続けている。
ただ、ロシア国防省はウクライナでの人員の損失を補充するため毎月3万人の新兵を採用している。また、数千人規模ともみられる北朝鮮兵がクルスク州に入り始めており、そのおかげで同州のロシア軍部隊の一部はセリドベ─ポクロウシク軸をはじめ、ほかの方面に転戦できる可能性がある。
一方、ウクライナ国防省は毎月2万人以上の新兵を集めるのに苦労しており、地上戦闘兵力の拡大が切実に必要とされているのに動きは遅い。この夏の終わりには状況があまりに切迫したため、ウクライナ軍参謀本部はカラダフ旅団など国家親衛隊の7個攻撃旅団の大半を前線に送り込むしかなかった。
国家親衛隊はウクライナ軍ではなくウクライナ内務省に所属し、通常は国内の治安維持などを担当する組織だ。その部隊を直接戦闘に投入せざるを得なかったことは、ウクライナ国防省のマンパワー(人的戦力)不足問題の深刻さを物語る。
CDSは、東部戦線にとって死活的に重要な補給線が交差するポクロウシクをウクライナ側が保持できることを確信している。「ポクロウシクとその接近ルート(主に鉄道とM30幹線道路)を防御するウクライナ軍部隊は、同市に向かうロシア軍の進撃を食い止めた」とCDSは報告し、ツェントル軍集団の消耗がさらに進むことで「ロシア軍の前進は遅れ、今後数週間、ドネツク州での攻勢見通しは損なわれるだろう」と予測している。
ウクライナ側のほかの識者は先行きをCDSほど楽観していない。ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトの創設者である元ウクライナ軍将校、タタリガミ(@Tatarigami_UA)は「ウクライナは現在、戦争に負けつつある。抜本的な措置を講じない限り、厳しい趨勢が続く」と警告している。
(forbes.com 原文)