欧州

2024.10.24 10:00

ドローン操縦士処刑したロ軍部隊への「復讐」続く ウクライナ海兵隊部隊も加勢

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ウクライナ軍が侵攻しているロシア西部クルスク州の小さな集落ゼリョーヌイ・シュリャフで今月10日ごろ、ロシア海軍第155独立親衛海軍歩兵旅団の部隊がウクライナ軍のドローン(無人機)操縦士チームを制圧した。ロシアの海軍歩兵らはウクライナのドローン操縦士9人を下着一枚にし、地面にうつ伏せにさせ、全員を射殺した

そのおよそ1週間後、ウクライナ海兵隊第501独立海兵大隊(第36独立海兵旅団司令部隷下)の部隊がゼリョーヌイ・シュリャフで逆襲し、いくばくかの復讐を果たしていたことが、新たに公開された映像で明らかになった。

数両のM113装甲兵員輸送車に乗り込んだ第501海兵大隊の小隊は、T-64戦車2両に先導され、ゼリョーヌイ・シュリャフを南北に走る幹線道路を進んでいった。T-64は発煙弾で煙幕を張りながら125mm滑腔砲で射撃し、ロシア軍の車両少なくとも1両に損傷は軽微とみられるものの一撃を見舞っている。ウクライナ軍のドローンは死亡したとみられるロシア兵5人の姿を捉えている。



第501海兵大隊は「これは彼らが日々、山のように行っている仕事のほんの一部にすぎません」と報告している

ウクライナ軍の精強な軍勢が8月6日に電撃的に侵攻し、現在もなお数百平方kmを支配下に置くクルスク州で、第155海軍歩兵旅団に対する復讐に燃えているウクライナ軍部隊は第501海兵大隊だけではない。空中強襲軍(空挺軍)の第82、95両独立空中強襲旅団、陸軍の第47独立機械化旅団も第155海軍歩兵旅団に反撃している。いずれもウクライナ軍屈指の精鋭部隊だ。
第95空中強襲旅団は18日、ゼリョーヌイ・シュリャフ近辺で第501海兵大隊の小隊を追い詰め、ドローンや戦車、ミサイル、地雷で撃破した。同旅団はBTR装甲兵員輸送車3両を破壊し、人員30人を殺害したと報告し、「地獄への敵のテレポーテーションは手の込んだやり方で行われました」と戦果を誇っている

400人規模の第501海兵大隊にとって、この報復任務には「贖罪」という意味合いもあるかもしれない。第501海兵大隊は、2014年にウクライナ南部クリミアがロシア軍の侵攻を受けた際、この戦略的に重要な半島を守るウクライナ軍の駐留部隊に属していた。火力に劣るウクライナ軍部隊は撤退することになったが、第501海兵大隊でそれに合流したのはわずか64人だった。数百人いたのかもしれない残りの大隊員は自主的にクリミアにとどまり、事実上、占領軍の側についた。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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