宇宙

2024.10.23 17:00

CO2が天の川銀河の「地球外知的生命体の進化」を阻害する可能性

約40億年前の初期の地球を描いた想像図。大気中に靄が立ち込めて「淡いオレンジ色の点」のように見えていた可能性がある(NASA’s Goddard Space Flight Center/Francis Reddy)

太陽系外のハビタブルゾーン

シュビーターマンによると、太陽以外の恒星のハビタブルゾーン(生命生存可能領域)内を公転している惑星の大半が、生命生存可能な環境になるためには、地球大気中のCO2存在量の最大で数千倍にも及ぶ、はるかに多くのCO2が必要と考えられる。これほどの濃度のCO2は、人間を含む動物のように酸素呼吸をする大型の生命体にとっては有毒ガスだ。そのため、理論的に「ハビタブル」な太陽系外惑星の大半は、微生物にとってはハビタブルだが、人間や人間と同様の生命体にとってはそうではない可能性があると、シュビーターマンは説明している。
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スペクトル型がM型の赤色矮星は、宇宙で最も数多く存在する恒星だ。

シュビーターマンはコペンハーゲンの会議で行った研究発表で、赤色矮星を公転する惑星は、異なる大気化学が存在し、有毒ガスの蓄積を促進していると考えられると指摘した。従って、技術文明が発生して繁栄しているかもしれないハビタブルゾーン内の領域は、広く想定されているよりも限定的である可能性があると、シュビーターマンは説明する。

地球外知的生命体を探す場合、ハビタブルゾーン内の惑星を見つけることがどれほど重要なのだろうか。
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シュビーターマンによると、動物や知的生命体も存在する可能性のある、地球に似た生物圏を想像できるようなハビタブルゾーンは、微生物のハビタブルゾーンよりもはるかに小さく、はるかに限定されている。これは、銀河系での文明誕生にはどのくらいの頻度が見込めるかに影響しているかもしれないと、シュビーターマンは述べている。

恒星と惑星の関係

会議での発表で指摘されたように、知的生命体の出現は、必ずしも無作為な進化過程に依存するわけではなく、少なくとも部分的には、惑星とその主星の共進化に関連していることを、シュビーターマンのモデルは示唆している。

結論

知的生命体が住む惑星の数は、微生物が生息する惑星の数よりもはるかに、はるかに少ないと予想しているとシュビーターマンは述べている。これは単に進化の確率の問題だけではなく、知的生命体の出現が可能な場所の数の問題なのだと、シュビーターマンは指摘する。

地球に関しては、どうだろうか。

シュビーターマンによると現在、地球は「保守的」なハビタブルゾーンの内端近くに位置している。太陽から受ける放射の熱量のおかげで、地球が温暖な状態を維持するのに必要なCO2は、ささやかな量にとどまっている。つまり、地球のCO2の低濃度期は、実際に特別な時期なのだと、シュビーターマンは指摘する。これは永遠には続かず、明るくなり続けている太陽がゆくゆくは地球を、金星が経験したような暴走温室効果状態にするとシュビーターマンは話した。



forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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