宇宙

2024.10.23 17:00

CO2が天の川銀河の「地球外知的生命体の進化」を阻害する可能性

約40億年前の初期の地球を描いた想像図。大気中に靄が立ち込めて「淡いオレンジ色の点」のように見えていた可能性がある(NASA’s Goddard Space Flight Center/Francis Reddy)

二酸化炭素(CO2)は、厄介な温室効果ガスとして悪者扱いされることが多い。だが、そのことについて私たちがここで議論できるのも、1つには初期の地球にCO2が存在したおかげである可能性が高い。最初期の微生物の誕生を可能にするほど十分に気温を上昇させるのに、CO2が初期地球の大気に大量に含まれている必要があった可能性が高いのだ。その理由は約40億年前、太陽の光度が現在の約70%しかなかったからだ。

だが、1つ問題がある。大量のCO2は、複雑な生物、特に人間のような知的生命体の進化にとって有害である恐れもある。もし地球が、炭素の循環によって大気から大量のCO2を除去する手段を編み出していなければ、私たち人類はここに存在しなかっただろう。炭素循環とは、地球の最も外部にある地殻の下の巨大な構造プレートの運動によって促進される過程で、地球大気中の炭素が地表下に引き込まれる作用のことだ。

太陽に似た他の恒星の周りにある地球質量の惑星は、それほど幸運ではないかもしれない。すなわち、CO2が豊富な大気を長い間保持していた可能性がある。これは微生物にとっては、それほど深刻な問題ではない。だが、惑星において人類のような知的生命体が居住可能な領域の範囲を狭める要因の1つになる恐れがある。

米カリフォルニア大学リバーサイド校の宇宙生物学者エドワード・シュビーターマンは、デンマークの首都コペンハーゲンで開かれた「特異な惑星に特異な生物種が存在?」と題した宇宙生物学会議の席上で取材に応じ、人間は酸素(O2)を呼吸してCO2を吐き出すので、CO2は廃棄物だと語った。シュビーターマンによると、人類が生存するには豊富なO2が必要だが、高すぎるCO2濃度は人体に害を及ぼす。従って、人類は生き残りを阻害されるような環境からは生まれなかった可能性があるため、人類が気づけばO2が豊富でCO2が少ない惑星にいるのは意外なことではないはずだと、シュビーターマンは指摘する。

地球の進化が起きたのは、特別な場所でだけでなく、特別な時期でもあった可能性が高い。

シュビーターマンによると、太陽は、地質学的な時間スケールで見て非常に長期間にわたって明るさを増しており、1億年ごとに約1%ずつ明るくなっている。これは、地球上で生命が誕生した時代まで数十億年遡って推定すると、凍結温度を上回る気温を地球が維持するためには、CO2のような温室効果ガスがより多く必要になることを意味するという。太陽が明るくなるのにともない、地球化学的風化作用により、このCO2が炭酸塩岩に取り込まれていると、シュビーターマンは説明する。



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翻訳=河原稔

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