宇宙

2024.10.18 17:00

地球近くに漂う潜在的に危険な大型小惑星は「従来推定より少ない」最新の観測結果

NASAの水星探査機メッセンジャーが2013年に撮影した2P/エンケ彗星(NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington/Southwest Research Institute)

NASAの水星探査機メッセンジャーが2013年に撮影した2P/エンケ彗星(NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington/Southwest Research Institute)

地球の近くの宇宙空間を漂っていることが知られている、天体の残骸の集合体「おうし座流星物質流」には、内部に最大14個の「キロメートル級」小惑星が潜んでいる可能性があることが、最新の観測結果から明らかになった。おうし座流星群を発生させる小天体である流星物質が密集したこの領域には、衝突によって地球に甚大な被害を及ぼす恐れのある巨大小惑星が隠れているかもしれないと、以前より懸念されている。だが今回の調査では、キロメートルサイズの小惑星は天文学者が予想していたよりも少ないことが判明した。

今回の観測プロジェクトを指揮した米メリーランド大学天文学部のアシスタント・リサーチ・サイエンティスト、クァンチー・イェは「幸いなことに、おうし座流星物質流内には、大型サイズの階級に当てはまる小惑星はほんのひと握り、おそらく9~14個しか存在しない可能性が高いことが、今回の観測で明らかになった」と話す。

地球の近くの危険な小惑星が比較的少ないのは、ある意味安心だと感じられるとしても、今回の結果は警戒と検出能力の向上の必要性を浮き彫りにしていると、研究チームは考えている。

またとない機会

研究チームは、おうし座流星物質流内に巨大な小惑星が存在する証拠を探して夜空を調査するために、米カリフォルニア州パロマー天文台にあるツヴィッキー・トランジェント・ファシリティー(ZTF)の望遠鏡を使用した。

イェは「今回の観測では、この流星物質流の小惑星が地球のより近くを通過することで、地球に脅威を及ぼす恐れのある天体をより効率的に探索できる、またとない機会を利用した」と説明する。「おうし座流星物質流内の大型の小惑星による衝突の危険性は、これまで考えられていたよりもはるかに低いことを、今回の結果は示唆しており、これは地球防衛にとって非常に喜ばしい知らせだ」

今回の研究結果は7日、米天文学会(AAS)惑星科学部会の年次会合で発表された。
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翻訳=河原稔

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