ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトの創設者である元ウクライナ軍将校、タタリガミ(@Tatarigami_UA)は「ウクライナは現在、戦争に負けつつあり、抜本的な措置を講じない限り、厳しい趨勢が続く」とソーシャルメディアで警告した。
タタリガミらの見るところ、ウクライナは兵士も装備も十分に確保できていない。ウクライナ軍は人員を月に最大2万人失っている可能性もあるが、それ以上の数の新兵を入隊させるのに苦慮している。
「たとえロシアが進撃を止め、守勢に回ったとしても、われわれには(クリミア半島を含み、国際的に認められた)1991年時点の国境線はおろか、(ロシアの全面侵攻を受ける直前の)2022年時点の境界線まですら、領土を取り戻していくためのリソースが不足している」とタタリガミは長文の投稿に記している。
もっとも、逼迫した状態にあるのはロシアも同じだ。ロシア軍はウクライナで月に3万人のペースで人員を失い、同数程度の新兵で補充している。ウラジーミル・プーチン政権は、実施すれば国民の大きな不満を招くとみられる追加動員を避けるのに必死だ。だからこそ、北朝鮮の金正恩政権と交渉して大規模な派兵をしてもらうことにしたのだろう。
対照的に、ウクライナの外国のパートナーはどの国もウクライナに戦闘部隊を送っていない。この不均衡は決定的なものになるおそれがある。米フィラデルフィアにあるシンクタンク、外交政策研究所のアナリスト、ロブ・リーは「戦争において最も重要な要素をひとつだけ挙げるとすれば、それはおそらくマンパワー(人的戦力)だ」と述べ、こう警鐘を鳴らしている。
「ウクライナの動員数が減り続ける一方、ロシアが毎月の補充努力(北朝鮮兵が加わる可能性も含め)を維持できれば、ウクライナのパートナー諸国が支援を拡大しない限り、状況は悪化の一途をたどるだろう」
(forbes.com 原文)