宇宙

2024.10.08 12:30

「銀河系の見方を永久に変える」史上最も詳細な赤外線地図、13年がかりで作成

記念碑的な取り組み

論文の筆頭執筆者で、ブラジル・サンタカタリーナ連邦大学の天体物理学者のロベルト・サイトウは「このプロジェクトは、すばらしいチームによって周りを固められたからこそ実現した記念碑的な取り組みだ」と述べている。

いて座の方向約5500光年の距離にある星形成領域「オメガ星雲(白鳥星雲、M17)」の詳細な赤外線画像(ESO/VVVX survey)

いて座の方向約5500光年の距離にある星形成領域「オメガ星雲(白鳥星雲、M17)」の詳細な赤外線画像(ESO/VVVX survey)

今回の最新地図には、VISTA望遠鏡を用いた夜空のサーベイ(掃天)観測であるVVV(VISTA Variables in the Via Lactea)とその拡張プロジェクトのVVVX(eXtended VVV)の一環として収集されたデータが含まれている。VVVとVVVXは、すでに300本以上の科学論文につながっている。

さそり座の方向約5900光年先にある星形成領域NGC6357の若い星々を取り巻く広大なガスと塵の雲をESOのVISTA望遠鏡が捉えた赤外線画像(ESO/VVV Survey/D. Minniti. Ackno)

さそり座の方向約5900光年先にある星形成領域NGC6357の若い星々を取り巻く広大なガスと塵の雲をESOのVISTA望遠鏡が捉えた赤外線画像(ESO/VVV Survey/D. Minniti. Ackno)

ウェッブ望遠鏡の発見

VISTA望遠鏡は本質的に、同じく赤外線の感度が高いジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の地上バージョンだ。今年7月、JWSTは連星系を構成する2つの褐色矮星を観測した。この2つは、木星の30~35倍の質量を持つ小型の星で、太陽系の最も近くに位置する褐色矮星だ。

褐色矮星は、巨大惑星と小型の恒星の中間的な特徴を持つ天体だ。恒星のように核融合を維持することができないため、比較的速やかに冷えて暗くなるという理由から、恒星になれなかった天体と見なされることが多い。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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