翼幅約20mでジェットエンジンを搭載する無人機(ドローン)であるオホートニクは、ロシア軍にまだほんの一握りの数しか存在しない希少な装備だ。残骸ではあるものの、そのうちの1機がウクライナとその支援国側の手に渡った。
ロシア空軍の非公式「テレグラム」チャンネルであるファイターボンバー(Fighterbomber)は、鹵獲されたオホートニクは「ネジ1本まで分解され、凝った内部構造を徹底的に調べられるだろう」と嘆いている。
So, this looks like Russians downing their newest Sukhoi S-70 Okhotnik heavy drone near Chasiv Yar. pic.twitter.com/haVf4aU6y4
— Illia Ponomarenko 🇺🇦 (@IAPonomarenko) October 5, 2024
オホートニクを撃ち落としたのはウクライナ空軍機だったのか、それとも味方のロシア空軍機だったのか。前者の可能性が高そうだが、後者もあり得なくはない。オホートニクが故障したのであれば、ロシア側はオホートニクがほぼ無傷でウクライナ側の支配地域に不時着するのを防ぐために、みずから撃墜することを選んでもおかしくない。
「無人機は何らかの不具合で制御不能に陥ったか(中略)、勝手に混乱したかであって、敵に迎撃されたのではなかったと願いたい」とファイターボンバーは書いている。
有力な仮説のひとつは、オホートニクはウクライナの1000kmにおよぶ戦線のこの方面で強力なジャミング(電波妨害)に遭ったというものだ。このドローンはおそらく完全な自律性は備えておらず、地上の操縦士との安定した接続に依存している。こうした点に関しても、ウクライナや支援国の専門家は残骸の分析によって確かめることができるだろう。
いずれにせよ、ロシア空軍にとってきまりの悪い損失になった。ロシアがウクライナに対する戦争を拡大して2年7カ月あまり経過するなか、ロシア空軍の損害もかさんでおり、これまでにウクライナ軍のロケット砲やミサイル、ドローンなどによって作戦機約130機が撃破されるか損傷している。それには最新鋭のステルス戦闘機Su-57も含まれる。