欧州

2024.06.10 09:00

ロシアのSu-57ステルス戦闘機に初損害か ウクライナ、越境ドローン攻撃激化

2019年9月、モスクワ近郊ジュコフスキーで催された航空ショーでデモ飛行するロシア空軍のSu-57ステルス戦闘機(BeAvPhoto / Shutterstock.com)

2019年9月、モスクワ近郊ジュコフスキーで催された航空ショーでデモ飛行するロシア空軍のSu-57ステルス戦闘機(BeAvPhoto / Shutterstock.com)

ウクライナ国防省情報総局(HUR)は9日、ウクライナの前線から約590km離れたロシア南部アフトゥビンスクの飛行場を8日に攻撃し、ロシア空軍のSu-57ステルス戦闘機を損傷させたと主張した

事実ならロシア軍の航空戦力にとって衝撃的と言えるほどの打撃になる。米国のF-22ステルス戦闘機に対抗して開発された双発の超音速機であるSu-57を、ロシア空軍は25機前後しか保有していない。

Su-57は実戦での使用が確認されておらず、実力はまだ証明されていない。ウクライナがドローン(無人機)を用いたとみられる今回の攻撃でSu-57を破壊したのだとすれば、ロシアにとってたんに屈辱的だっただけでなく、今後も屈辱的な事態が続くことの前触れになった可能性もある。

また、HURの主張どおりロシア空軍のステルス戦闘機がウクライナの前線から600km近く離れた場所で駐機中に被弾したのなら、ウクライナ側が激化させているドローン攻撃によってロシアの防空網が薄く引き伸ばされ、貴重な資産を全部は守りきれなくなっていることが強く示唆される。

これに関連して注目に値するのは、8日にはウクライナの別のドローンが、国境から約730km離れたロシア南部モズドクの航空基地も攻撃していることだ。こちらはロシア空軍のTu-22M爆撃機を狙ったとみられる。

Su-57が被弾したというHURの主張を裏づけることは難しい。たしかにHURは攻撃前後を写したものとする衛星画像を公開し、画像からは「7日時点ではSu-57は無傷だったが、8日には爆発によるクレーターと火災による特徴的な焼け跡が付近にできていることがわかる」と述べている。

しかし画像は粗く、加工されている可能性もある。ウクライナ当局がロシア空軍の損害を誇張しがちな点には留意しておくべきだ。ウクライナ国防省は、拡大後2年4カ月目に入る戦争でロシア軍の固定翼機350機超に損害を与えたと主張しているが、独立系アナリストによって確認されている損害は110機あまりにとどまる。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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