責任と権限はセットに
夏目:僕自身も、ネコがいい悪い、イヌがいい悪いではなく、適材適所だと思います。うちでは、すこやかなイヌとネコになるためには「会社のために仕事をするな」、「失敗OK」、そして、「責任と権限をセットにしてばら撒く」ということを実践することで、社員さんの自律性を育んでいます。会社のために働かなくていい、自分が決めた自分以外の誰かのために働くので、気も楽になるでしょうし、自己責任に通じるところもあります。自分で決めたんだから、そこに向けて一生懸命やりだすと、やらされ感もなくなりますから、のびのびとしているでしょう。それから、イヌは失敗をすごく恐れると感じるのですが、彼らに対しては失敗OKだよと。失敗とは「何もやらない、あるいは、やりかけたけどうまくいかないから辞めてしまう」こと。それ以外は、続いているけどうまくいかないのはOK、とみんなと失敗の定義を共有しました。
私自身も、会社の中でたくさん失敗してきました。その度に、背中を押されて、むしろ失敗から逃げることの方が失敗だと教えられてきました。うちの社員については、のびのびとチャレンジしてほしいと考えています。
責任と権限のばら撒きについても、責任だけ負わせるのではなく、責任を負うためにはこうした権限がセットであることを明確にしてお願いすると。会社で物を買うときも、社長に権限がなくて、社員さんが高い材料を買ってきてびっくりすることもあります。でも、責任と権限をセットにして委譲しているわけですから。そうしたことを続けていくと、社員さんも自分の思うようにやっているし、それを会社が許してくれているし、その期待に応えていこうという気持ちになっているのかなと思います。会社のために仕事しない、失敗OK、責任と権限はセットで、イヌもネコもすこやかになるといいですね。
木村:「会社のために仕事をしないということ」と、「責任と権限の話」は、その時点で、社員を信頼しているメッセージになっている気がします。すると、全面的になんの期待もなく信頼していると言われると、やっぱり社員も会社のために応えようとなるんじゃないかなと、夏目さんの話を聞いて思いました。
仲山:ネコの人は確実に動きやすくなりますよね。イヌの人は失敗OKと言われても失敗したくないと思うはず。だから、大事なのは、「ネコがいてもOKなんだよ」と言った上で、「イヌのままでもいいんだよ」と。「全員ネコになりましょう」という「間違ったメッセージ」として伝わらないようにすることが大事ですね。
木村:イヌは、なるべく失敗させないようにしてあげるのがいいですね。