経営・戦略

2024.10.08 14:45

組織のネコとイヌは仲良くなれる? 「愛される会社」が実践していること

とにかく「雑談推奨」で生まれること

Q.そんな状況から、ネコが再び活躍しやすい状況ってどうしたらつくれますか?

木村:前提として、職種にもよりけりですよね。製造に携わる人が全部ネコだったら難しい。基本的には健やかなイヌであってほしいです。ですが、開発とか営業はネコであって欲しいし、ネコの人が必要です。営業は、もともとうちはOEMで特定のお客さんの要望を聞いていくのでイヌが合いますが、新しい事業をやっていくのに、よくわからない営業をしないといけない場合はネコが必要だろうと。職種によってイヌもネコも必要なのが前提として、仲山さんのおっしゃったようにこじらせたイヌとネコが厄介です。

健やかになるためには「お互いがお互いのことをまず理解し合うのが絶対条件かな」と思っています。うちの会社では、雑談を推奨してます。あと、責任の定義を変えました。社員にチャレンジを促すけど、ずっとイヌのふりをしてきたネコも、「失敗したら怒られるからやりたくない」と言う状態になっていたんですね。

「やっていい」と言っても「そんなの責任が取れないじゃないですか」となるので、では責任の定義を変えましょうと。

具体的には責任の定義を「とる責任」から「果たす責任」へと表現しています。社員は責任を果たす、取り組み始めたことを最後まで自分ごととして向き合う覚悟という定義に変えました。何かトラブルが起こってもペナルティを受けるのではなくて、最後まで向き合ったらOKにしています。

あと、雑談推奨をしている理由ですね。

「いる」「なる」「する」としていて、組織において、成熟してオペレーションが完成している組織では「する」価値が高い。何かを「する」ことの重要性が高く、何かをできる・できないで評価されてしまいがちです。

でもそれよりも前に、その人が「いる」価値があるのではないかとずっと思っています。これは予防医学研究者の石川 善樹さんがおっしゃっていることですけど、人間関係の深め方は、普通は「いる」から始まって、「なる」「する」へ深めていくものだと。

小学校の場合、まずは学校に人が集まって「いる」から始まって、徐々に友達に「なる」。仲良くなって色々「する」。でも、大人になり組織に入ると、「する」から始まって、「する」ができて初めてチームメンバーになれ、仲良くなることができる。結局、「いる」価値まで行きつかない。「する」価値だけで判断されてしまう。



でも、組織の中にその人が「いる」だけで周りの雰囲気がよくなって、パフォーマンスが上がる人がいるとします。そういう人の存在って「する」だけで捉えられると、全然評価されない。イヌとネコの話にしても、イヌの上司からすると、ネコがやっていることはよくわからないので、その人がやっていることや成果だけで判断すると、ネコの取り組んでいることが全く評価されない状況になりがちです。

しかし、ネコが存在するだけでも、成果が出ていなくても、やっているだけで、取り組んでいるだけで価値があります。それを知るのって、組織の公式のコミュニケーションだけでは知れないのではないかと思っていて。

だから、とにかく雑談をする。色々な話をして、業務のオペレーション以外の話を各所ですると、人のことをよく知れます。人のことをよく知れば、やっていることはわからないけど、自分とは違うことをやってくれている、その人の存在に価値があるんだなと思ってもらえるんじゃないかということで、雑談の場や機会を増やそうとしています。

仲山:具体的にどういう推奨の仕方なんですか。
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編集=督あかり

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