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2024.10.11 13:30

「儲からない」けど「意義がある」社会課題解決に挑む5つのスタートアップ

起業家たちが挑む「社会課題解決の課題」の解決「非営利スタートアップ・エコシステム」づくり

起業家5人に賛同いただいた「Soil / Forbes JAPAN基金」プロジェクト。「社会課題解決の課題」の解決のひとつの手段として資金提供とエコシステムづくりを行う。

「インパクト投資をはじめ、寄付と投資の間を担う社会課題解決のための資金インフラは増えています。一方、経済的リターンを求めない、エクイティも取らないという非営利スタートアップへの寄付は絶対額が限られているうえ、社会的に弱い立場の人や教育、研究など特定の領域に限られ、いわゆる『事業性資金』が足りていない」
 
そう話すのは、Datachain代表取締役CEOで、Speee創業者兼取締役の久田哲史。久田は2023年、一般財団法人Soilを設立し、代表理事に就任。同団体をもうからないけど、意義がある活動を行う「非営利スタートアップ」のインキュベーター・アクセラレーターと定義し、非営利スタートアップの創業期資金を助成してきた。「Soil1000」では、優れたチーム、アイデア、実績をもつ非営利スタートアップに最大1000万円の助成。「Soil100」は、創業前後の実績がない方に最大100万円の助成を行なってきた。「非営利スタートアップは資金の出し手が構造的に不足している。この『社会課題解決の課題』の解決策として、起業家がIPOやM&Aによって得た資金を非営利スタートアップの助成に向けること。事業開発のナレッジで成長支援していくことがある」(久田)

Soilではそのほか、東京大学未来社会協創推進本部の協力を得て助成プログラム「Soil×UTokyo」を実施。京都大学の産官学連携本部イノベーション マネジメント サイエンス 起業・教育部からの協力を得て助成プログラム「Soil×KyotoUniversity」を開催。PoliPoliとの共同企画「Soil×Policy Fund」基金を設立。同基金には、LITALICO代表取締役会長の長谷川敦弥、エス・エム・エス共同創業者でREAPRA代表取締役の諸藤周平、久田が賛同した。

起業家が非営利スタートアップ支援する意義

今回、「Soil / Forbes JAPAN基金」プロジェクトは、5人の起業家たちに賛同いただき、開始した。PKSHA Technology代表取締役の上野山勝也、エウレカ共同創業者でfrankyアドバイザーの西川順、リブセンス代表取締役社長の村上太一、kubell代表取締役の山本正喜、そしてSoil代表理事の久田の5人だ。同基金プロジェクトは、起業家の寄付金を原資に、非営利スタートアップへの助成を行うプログラムだ。350団体以上からエントリーがあり、5人の起業家が参加した最終審査会を実施し、NPO法人アクセプト・インターナショナル、シーベジタブル、SMILE CURVE、NPO法人チャイボラ、Dots forの5団体を採択した。

リブセンス代表取締役社長の村上は非営利スタートアップへの支援の意義について次のように話す。「非営利スタートアップとはいえ、将来的には事業利益や安定的な寄付などで、継続的かつ規模拡大できる仕組みをつくることなどはスタートアップと同様に大切だ。一方、事業の複雑性から資金面を含めて立ち上げ期には困難が伴うため、リターンを求めない資金提供を行うことで、社会的インパクトを生み出せる可能性を感じている」
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文=山本智之 写真=平岩亨、若原瑞昌(1P目文中) イラストレーション=ムティ

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年10月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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