木村:例えば部活動の地域移行という大きなテーマがありますが、学校の先生が顧問としてサービス残業でやるのはおかしいぞという今の流れの中で、結局、お金は誰が出すの?とか、誰がやるの?という話になる。突き詰めると全部財源の話なんですよね。
そうした問題に、まずはプロスポーツから入っていって、みるスポーツだけでなく、するスポーツもどうしたら改善していけるだろうか?というのが、個人的にも強い興味関心事項です。
──財源という非常に大きな問題とそれぞれの地域や立場で異なる事情を抱える中で、長く議論が続いている、とても難しいテーマです。
木村:また難しいのが、受益者である親御さんが子供にスポーツをやらせたいという意思がそこまで強くないという現実もあって、特に女の子はスポーツなんかそんなにできなくてもいい、といったカルチャーがまだまだ残っていたりもします。
小学校低学年ぐらいまでにスポーツに親しんでいないと苦手意識ができちゃって、それが長く積み重なっていくと、民間と行政が一緒に頑張ってサービスを提供しようとしても、そんなことに税金使わないでください、みたいなことになっちゃうんですよね。
いや、もう本当にカルチャーから作っていかないといけないと痛感している昨今です。
──ビジネスだけでなく、ご自身でもスポーツを楽しまれるのでしょうか?
木村:はい、最近ではフットサルをやっています。社内サークルがありまして、コロナ禍の活動休止からようやく再開しましたので。
プライベートでスポーツ観戦に出かけたりもします。
きたー!!!! pic.twitter.com/QmccBUfBcl
— 木村弘毅 ko_oki Kimura (@kokikimura) September 28, 2024
木村:アメリカのスポーツビジネス、特にスポーツベッティングについて調査して論文を書いたのですが、2018年に合法化されてからの市場展開を目の当たりにし、すごく焦りとしても刻み込まれたということがありました。
そこからもう6年経っていて、日本の経済・社会システムなども含めた意思決定がもっと加速していかなければいけないとさらにその焦りを募らせています。
──それでは最後に、今後どのようにスポーツ事業に取り組んでいきますか? 読者の皆さまへのメッセージとともにお聞かせください。
木村:「IT企業、スポーツやりがちだよね」と括られがちですけど、各社全然違う意図で取り組んでいると思いますし、私たちもこれまで語ってきたような思想をもって、新しいスポーツビジネスに挑んでいます。
より多くの人がカルチャーとしてスポーツにアクセスできるようにする「スポーツの民主化」には、もっと多くの人にスポーツの楽しみを伝えていくことが重要で、そのためには事業者である私たちの力だけではなく、スポーツを愛好している皆さんの協力が欠かせないと思ってます。
「これ面白いよ」というスポーツの魅力を、ソーシャルネットワークなども使って、多くのファンの皆さんと一緒に広めていけたらいいなと考えています。
木村弘毅(きむらこうき)◎株式会社MIXI代表取締役社⻑ 上級執行役員 CEO。電気設備会社、携帯コンテンツ会社等を経て、2008年株式会社ミクシィに入社。ゲーム事業部にて『サンシャイン牧場』など多くのコミュニケーションゲームの運用コンサルティングを担当。その後『モンスターストライク』プロジェクトを立ち上げる。2014年11月、執行役員就任。2015年6月、取締役就任。2018年6月より現職。また、公益社団法人経済同友会「スポーツとアートによる社会の再生委員会」委員⻑として、社会創生におけるスポーツの役割について経営的・技術的観点から様々な提言を行なっている。