スポーツベッティングを無視するのは健全ではない
──日本ではスポーツを対象に賭けを行なうことは、公営競技(競馬、競輪、競艇、オートレース)とtotoやBIG、WINNERといったスポーツ振興くじを除き、刑法上の賭博罪に該当し、違法とされています。スポーツ事業の更なる拡大を目指すうえでも、日本でのスポーツベッティング解禁は最大の要素であり、これまで合法化を模索してこられましたが、なかなか開かれた本格的な議論には至っていません。この状況をどう捉えていますか?
木村:そうですね、検討ばかりを進めるのではなく、実質的な議論が交わされるようになればいいなと思っています。
今かなり日本経済をあらゆる面からなんとかしないといけない状況の中で、様々な政策について議論されるようになってきて、スポーツ基本法改正の検討においてもスポーツビジネスを成立させる条文を盛り込もうという動きがあります。
旧来の考えにはスポーツでお金を稼ぐとはけしからんといったものもあると思いますが、お金を落とせる人が落として、それを発展のために使い、多くの人が参加できるようにしていく「民主化のための手段」の一つとして、これからはもっと積極的議論が進んでいくことを期待しています。
もちろんその手段はベッティングだけではなく、色々なマネタイゼーションが考えられますが、世界的な経済規模で見たときに、圧倒的に財源となっているのがスポーツベッティングであって、それを無視して議論を進めるのは、それこそあまり健全ではないんじゃないかと考えています。
──依存症への懸念やギャンブルへの抵抗感は、スポーツ界の中でも依然として根強いものがあると思います。どのように取り組んでいくお考えでしょうか?
木村:スポーツベッティングでも、やはり賭博、ギャンブルにつきものの依存症や八百長といった問題は発生し得ると思っています。
そのことを重々肝に銘じながら、知恵を絞って取り組んでいくことが不可欠で、対策には、世界累計で6200万人以上ご利用いただいてきたモンストのようなゲームでもそうですが、トレーサビリティが欠かせません。使い過ぎのチェックやアカウントを停止する仕組みを整えたり、スポーツの純粋性を損なう「八百長問題」についても、例えばアメリカではAIを活用したモニタリングなどの対策が進んでいますので、テクノロジーとノウハウで解決していかなくてはいけないと考えています。
きちんと問題と向き合って、健全化を図りながら、経済規模を大きくしていくことが重要です。
部活動の地域移行 課題はやはりこの2つ
──その他、課題に感じていること、新たに挑戦したいことはありますか?木村:いま経済同友会の人間として取り組んでいるのが、地域の子供たちのスポーツ環境をどう整えるか、ということです。