2. 意見の相違は架け橋となる
心理学的にみると、人は意見の相違がある場合、社会的反応を調整するよう動機づけられることが多い。つまり、コミュニケーションにおいてより思慮深く、注意深く、敬意を払うようになる。この調整プロセスは、より建設的な対話を生み出すのに役立つ。双方が自分の意見が相手の耳に届き、尊重されていると感じやすくなるのだ。異なる視点を持つ個人が、敬意を持ってオープンマインドな方法で互いの考えに異議をとなえるような議論をするとき、意見の相違は建設的なものとなる。
「人は、意見が異なる相手との共通点を過小評価しているようだ。つまり、ある問題全体では立場が異なっていても、その問題の一部については意見が一致している可能性を見落としている。会話を通じてこうした一致点が明らかになることで、より深い理解が促進される」と研究チームは説明する。
たとえば中絶について、賛成派と反対派の2人がいるとしよう。この2人は、会話を通して、どちらも女性の幸福と生命の保護を深く気にかけているのだと認識できるかもしれない。これらの価値観のバランスの取り方については意見が異なるとしても、共通の関心事を認識することで、より敬意と共感に満ちた対話が可能になる。
建設的な意見の相違は、互いに気づいていなかった不確実性や誤解を明らかにしすることも多い。これは、双方が理解の隙間を埋め、問題への取り組み方を改善するきっかけとなり、有意義な議論につながる。
3. 意見の相違は革新につながる
建設的な意見の相違はさらに、他の方法では考えられなかったような新しいアイデアの探求につながり、創造と革新を促進する。オープンマインドで取り組めば、創造的な問題解決へ向けた貴重な機会がもたらされる可能性がある。多くの場合、人々は対立や不快感といった先入観から、意見の相違を含む会話を避ける。しかし、そうした議論に参加すれば、新鮮な視点が生まれ、共通の理解が得られ、最終的には進歩を促すことにもなる。
こうした意見の相違は非常に有益だ。なぜなら、通常の視点を超えて考え、代替案を検討することを人々に促すからである。意見の相違が建設的に処理扱されれば、批判的思考を刺激し、境界を押し広げ、斬新なアイデアの開発につながる。
このプロセスは、全員が同意したり対立を避けたりする環境では生まれなかったであろうブレークスルー(画期的な進展)をもたらす可能性がある。科学やビジネス、起業といった分野では、建設的な意見の相違が進歩の重要な原動力となることが多い。
こんど意見が分かれそうな話題に遭遇したら、それを避けるのではなく、優しい好奇心を持って接してみよう。相手の視点と、その視点がどこからきているのかを探ってみると、同意できなくても相手の見解を理解し、尊重できるようになるかもしれない。
(forbes.com 原文)