サイエンス

2024.05.19 17:00

疎遠になった友人と関係を修復する「3ステップ」、心理学者が解説

木村拓哉
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Getty Images

こんな状況を頭に思い浮かべてほしい。友人から、「この週末に会って話がしたい」というテキストメッセージが届く。ちょうどその時、午前中にやるべきタスクでバタバタしていたあなたは、仕事が終わってから返事をしようと決める。だが、その日の晩になると、すっかり疲れ切っていて、SNSのチェックとドラマの一気見をして過ごすことにする。次の日になって、メッセージに返信しようとしたが、もうその時にはすでに、友人が会いたいと言っていた週末が到来していた。

こうしてあなたは、意図的にではないにせよ、この友人を「ゴースティング(一方的に連絡を断つ行為)」してしまったことに気づく。友人と疎遠になってしまうきっかけは、だいたいこのような流れだろう。

ここで言う「疎遠になる」とは、友人と日常的に会ったり、何らかの形でやりとりをしたりする習慣が途絶えてしまった状況を指す。こうした状況に陥った人のスマートフォンは、未読のメッセージや不在着信、そして、連絡をとれなかったことについての絶え間ない言い訳でいっぱいになっているはずだ。その結果、悩みやうれしい出来事など、友人の大切な体験からも疎遠になり、取り残されて、悪い友人であることに罪悪感を覚えるようになる。

友人と疎遠になるのは厄介な問題で、時が経つともに無力感につながりかねない。こうした状況から脱して、よりアクティブな友人関係を保つための方法を、3つのステップに分けて以下に紹介しよう。

1. 自分にとっての「人付き合いの限界」を知る

友人との関係を復活させるための最初のステップは、自分がどこまで友達とやりとりをし、リアルタイムで関わり合い続けられるか、その許容量を知ることだ。

人付き合いに関して、どこでラインを引くべきか、自分が受け入れられるのはどの程度なのかを知ることは、疎遠になった友人との関係を復活させる上で、非常に重要なポイントだ。自分なりの限界を設ければ、人とのやりとりにおける現実的な期待値を設定するのに役立つ。こうした基準があれば、無理なくつながりを保つための努力を続けられるようになるだろう。

2020年に発表されたある研究では、自身のニーズに従って境界線を引くことで、自分のペースで人間関係を構築することが可能になり、「人間関係を主体的にコントロールできている」という感覚を得られることが判明している。結果として、こうした境界線が、人付き合いに関して無理をして燃え尽きることの予防策となり、偽りのない意味ある友情を育むことに役立つという。

自分のニーズに合った生活を送るには、平均的な労働時間と、仕事が終わった後にどれだけのエネルギーが自分に残っているかを把握する必要がある。それが分かれば、気力を奪われない範囲で人と付き合える個人的な限界を設定することができる。また、友人とやりとりすることで、気分が良くなり、活力が増すといった効用が得られる可能性についても頭に置いておくとよいだろう。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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