働き方

2024.06.18 13:00

Z世代の50%が「対人能力が低下」との調査、職場での支援方法は

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キャリアコーチや管理職専門のリクルーター、リーダーシップの専門家らによると、リモートワークやリモート学習を経験したことで、Z世代の一部は職場で不利な立場に置かれているという。これはZ世代が増えつつある職場を管理する経営陣にとって、新たな問題に発展する可能性がある。

コミュニケーションなどのやり取りをソフトウェアに頼っているZ世代の中には、ソーシャルスキル(社会技能)や言語能力の低下が見られる人もいる。例えば、リモートワークやリモート学習をしているZ世代を対象に最近カナダで行われた調査では、50%超がソーシャルスキルが後退し、25%超が言語能力が低下したと回答している。

この調査は1518人を対象に、Censuswide(センサスワイド)がオンライン語学学習プラットフォームPreply(プレプリー)の依頼を受けて今年1月30日〜2月2日にかけて実施した。

オンライン移行の影響

Preplyはプレスリリースで「Z世代の多くは、パンデミック時に学生だったため、(対面での)交流が減った影響を特に受けている。オンラインで教育を受けることを余儀なくされた結果、Z世代はコミュニケーション能力を磨く重要な機会を逃してしまった」と説明している。

ソフトウェア会社Looq AI(ルークAI)の広報担当役員であるクリスティン・バーンは「人との触れ合いの減少は、場の空気を読む、自然発生的な会話に加わる、人間関係を築く、といった能力に影響を及ぼす」と語る。

「デジタル面に明るいにもかかわらず、Z世代の労働者の中には、特定の対人スキルで苦戦している人がいる」と話すのはキャリアとリーダーシップを指導するシェナ・ミストリーだ。

「例えば、若い人はバーチャルでのプレゼンはとびきり上手なのに、対面でのミーティングでは他の人と視線を合わせたり、自分の考えを明確に表現したりするのに苦労して、しどろもどろになってしまうかもしれない。効果的なフィードバックのやり取りがうまくできず、チーム内で誤解が生じさせることもあり得る。優れたスキルを持つZ世代の人が、対面でフィードバックを受けている際に、会話よりも携帯電話に気を取られ、上司が伝えた重要な情報を逃してしまったケースを思い出す」とミストリーは回顧する。

スキル不足の自覚なし

米サンタモニカ・カレッジの学外プログラムなどの学部長であるスコット・シルバーマンは「職場でも、その前に在籍する大学でも、普通の対面でのやり取りに自信がなく、さらに悪いことに、そうしたスキルの不足を自覚していない」と指摘する。

失われた対人能力を磨く機会

リーダーシップのコーチ、フィービー・ギャビンは「Z世代は新型コロナで重要な時間を多く奪われた。通常であればインターンやキャリア初期の仕事を通じて社会人としての心構えを吸収するが、Z世代にはそうした機会がなかった」と話す。

さらに「Z世代はリモートで働いていたため、通常であれば職場での言動の規範を示す人たちと一緒に過ごすだけで受けることになる社会的訓練をほぼ受けていなかった」とも指摘する。
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翻訳=溝口慈子

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