PIIEのフェローで元オバマ政権のスタッフであるモーリー・オブストフェルドはCNNに対し、議会での対立が「金融市場を不安定にする可能性がある」とした。また、中国が「大規模な報復」を行うだろうと予測し、他の貿易相手国も「黙って受け入れることはないだろう」と語った。
一方、ハリスは現在トランプの関税提案を批判しているが、バイデン政権はトランプ時代の関税をほぼ維持しており、5月には中国の「不公正な貿易慣行」を批判して約180億ドル(約2兆6000億円)相当の輸入品に影響を与える関税の引き上げを発表した(トランプが提案する中国に対する一律関税は4000億ドル以上の輸入品に影響を与える)。
バイデン政権内の「関税撤廃」の議論
関税の撤廃を巡っては、政権内でも意見が分かれており、財務長官のジャネット・イエレンを含む関係者が関税の削減を推奨する一方で、労働組合は米国の競争力を高めるためにバイデン大統領に関税の維持を求めている。ペンシルベニア州やオハイオ州など、いわゆるラストベルト地域の上院議員は、バイデン大統領に関税を維持するよう促し、「関税の撤廃は、米国の鉄鋼やアルミニウム生産者を弱体化させる」と主張した。PIIEのオブストフェルドはCNNの取材に対し、「関税の引き下げは、消費者にとって利益になるが、現時点でこれらの関税を撤廃する政治的な意欲はない」と語っていた。
トランプとハリスの関税を巡る論争は、ハリスが8月16日の演説で自らの経済政策を初めて公にしたことで高まった。ハリスの計画には、食料品店での「価格のつり上げ」への対策や高騰する住宅費、処方薬の価格抑制への取り組みが含まれている。
トランプはハリスの政策や価格抑制の取り組みを批判しており、トランプの広報担当者であるリービットは、元大統領が「ビジネスマン」であり、「共産主義的な価格統制を推進する過激なサンフランシスコのリベラル派から経済学を学ぶ必要などまったく無い」とフォーブスに語った。
(forbes.com 原文)