アート

2024.09.21 15:00

渋谷に現代アートのミュージアムを 実業家が見据える未来|今月のアートな数字

館内で最も広い地下1階の空間で、お気に入りのローレン・クイン作品の間に立つ植島。事業家・投資家に新たに「館長」の肩書が加わった。

企画展、芸術祭、フェア、コレクションなど多彩な話題が飛び交うアートの世界。この連載では、毎月「数字」を切り口に旬なアートトピックをお届けしていく。6月、渋谷に誕生した現代アートのミュージアム。その“館長”たる実業家の思いとは。
数字が表すのは、UESHIMA MUSEUMの座標「東京都渋谷区渋谷1-21-18」。構想から1年ほどで開業した同館では、村上隆や杉本博司、ゲルハルト・リヒターからジャデ・ファドジュティミまで、国内外、今のアートシーンをリードする作家たちの作品約80点を見ることができる。

数字が表すのは、UESHIMA MUSEUMの座標「東京都渋谷区渋谷1-21-18」。構想から1年ほどで開業した同館では、村上隆や杉本博司、ゲルハルト・リヒターからジャデ・ファドジュティミまで、国内外、今のアートシーンをリードする作家たちの作品約80点を見ることができる。

経営者の重要な仕事は決断することで、そのスピードは速いほうがいいといわれる。人材、IT、医療、投資など多角的なビジネスを手がける実業家の植島幹九郎は、そのアートコレクションにおいても、即断即決により、約2年半で680点を超える作品を収集。

2024年6月、東京・渋谷にその一部を公開する「UESHIMA MUSEUM」をオープンした。これは、前年春の弊誌の取材で宣言していたことでもある。
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1年半で600点収集 「共有する」アートコレクター植島幹九郎の想い

場所は、植島の出身母体である渋谷教育学園の敷地内。麻布台ヒルズに移転したブリティッシュ・スクール・イン・東京の跡地という「教育的、文化的な地である」ことも決め手となり、スピーディに動き出した。22年2月に創設されたUESHIMA MUSEUM COLLECTIONは「同時代性」をテーマとし、現役で活動するアーティストの、より新しい作品を中心に収集している。

アートフェアや個展、芸術祭などでアーティストと対話をするなかで、彼ら・彼女らが作品を通じて投げかける視点や課題は「より多くの人に見られるべき」と感じた植島は、当初から、購入作品をオンラインで公開し、時にフェアやギャラリーでも展示を行ってきた。日本で世界の最先端のアートに触れられるように、海外の人に日本のアートを知ってもらえるように。それを実現するためにも、「老若男女が集まり、世界的にも知名度の高い渋谷に構えられた意味は大きい」と植島は言う。
鏡張りの部屋にオラファー・エリアソン<Eye see you>を。「色を消す光が、人種や肩書を超えて人は平等だと気付かせてくれる」。テートモダンで見た展示のコンセプトを再現した。

鏡張りの部屋にオラファー・エリアソンを。「色を消す光が、人種や肩書を超えて人は平等だと気付かせてくれる」。テートモダンで見た展示のコンセプトを再現した。

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文=鈴木奈央 写真=山田大輔 書=根本充康

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年9月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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