競合との差別化
ラフィキのビジネスは、自社の決済の課題を解決したいというフェルナンデスの思いから始まった。創業初期に取引量が増加していた時期、ナラは外部の決済インフラを使用していたため、信頼性の問題が発生していた。「運用コストとサポートコストが非常に高くなり、最終的に私たちは自社の決済インフラを構築することにした」とフェルナンデスは語る。Remitly(レミットリー)や、Taptap Send(タプタプセンド)、LemFi(レムフィ)、Sendwave(センドウェーブ)などのフィンテック企業も、移民労働者がアフリカに送金を行うためのデジタルサービスを提供している。しかし、ナラはいくつかの方法で差別化を図ろうとしている。同社は、必要なライセンスや当局の承認を確保することで、地域内の銀行や通信会社とのダイレクトな接続を確立し、仲介ネットワークを回避することで、資金が迅速かつ低コストで顧客の口座に届くようにしている。
フェルナンデスは今、ナラのビジネスを送金以外の金融サービスにも拡大したいと考えている。例えば、ナラは、海外で働く人々にデビットカードを提供する予定であり、これにより労働者が自身が稼いだお金の使い道をよりコントロールできるようになる。また、ナラは移民が自身のクレジット履歴などのデータを米国に移転できるシステムを開発中だ。
フェルナンデスはまた、アフリカ向けの送金を手掛けるフィンテック企業には珍しく、レートの透明性を打ち出すことで、ナラを差別化しようとしている。ナラは、たとえ競合企業のレートが自社よりも有利であっても顧客にそれを開示している。「これにより、顧客との信頼関係が強化される。多くの場合、私たちが最も良いレートを持っていなくても、顧客は透明で正直な私たちを使い続けてくれる」と、彼は語る。
平均してナラは、レミットリーよりも高い手数料を請求しているが、フェルナンデスは顧客がナラの透明性を理由に利用し続けていると主張している。
さらに、サービスの質の高さもナラのセールスポイントだ。カリフォルニア州に住む32歳のトルコ航空の営業担当者であるハマド・カソガは、以前はレミットリーを使ってタンザニアに送金していたが、昨年11月にナラに切り替えた。彼は、ナラの方がより良いサービスを受けられると信じており、特に、母国語のスワヒリ語でサポートが受けられる点を気に入っている。
ナラは現在、コストを抑えるために米国で勤務する社員を一人のみにしているが、それでも米国での収益と取引量は他の市場を上回っているという。
(forbes.com 原文)