海外

2024.08.30 09:00

アフリカのTV司会者から全額奨学金で米国大へ、31歳起業家が手がける「海外送金アプリ」

Getty Images

17歳でテレビ番組の司会者に

タンザニア最大の都市で以前の首都だったダルエスサラームで育ったフェルナンデスには、テック系起業家のロールモデルがいなかったが、彼にはインスピレーションがあった。彼の両親は、共に著名な福音派のキリスト教伝道者で、タンザニア初のクリスチャンテレビ局を開局した。そのため、フェルナンデスは17歳でテレビの子供向けトークショーの司会者として活動を開始し、2012年のロンドン五輪や2014年のワールドカップなどの取材で国際的な注目を集めた。
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彼は、2014年にミネソタ州のノースウェスタン大学を卒業し、翌年にスタンフォード大学のビジネススクールに全額奨学金で入学した。フェルナンデスは、その当時決済ビジネスを初めて模索し、シリコンバレーのスタートアップ文化に浸った同級生たちから刺激を受けたという。

2021年にナラを国境を越えた送金サービスとして再構築した後、フェルナンデスは元テレビ司会者として築いた大きなソーシャルメディアのフォロワーを活用してビジネスを拡大した。彼は音声SNSのClubhouseで顧客を見つけ、約45万人のインスタグラムのフォロワーに製品をテストするよう促した。そして2022年1月に、国際投資に特化したテキサスを拠点とする投資会社、Amploの主導で1000万ドル(約14億5000万円)を調達した。

ナラは為替マークアップ、つまり為替レートに上乗せして課す追加料金を通じて収益を上げている。また、多くのアフリカ諸国での通貨不足(特にドル不足)を背景に、ドルなどのハードカレンシーをアフリカ市場に供給することで利益を得ている。「銀行にはドルが常に不足している」と彼は言う。「私がアフリカにドルを持ち込む場合に、銀行はドルにプレミアムを払う意志がある。だから私は市場でドルをどの価格で提供するかについて交渉力を持っている」とフェルナンデスは説明した。
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また、新たなラフィキのインフラを通じてナラは、ビジネスのための信頼性のある低コストの支払いレールを作成し、支払いの送金と回収を効率化することを目指している。これにより、アフリカと取引を行いたいが必要な免許を持たないグローバル企業が、既にライセンスが取得されたインフラに接続できるようになる。

「たとえば、DHLはナイジェリアで資金を回収し、それをドイツに送還する必要がある。また、ネットフリックスのような企業が、ラフィキを用いて顧客からの回収を処理することも考えられる。これがこのビジネスのターゲット市場だ」とフェルナンデスは説明した。
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編集=上田裕資

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