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2024.08.19 12:30

日本語でのプロンプト入力でビジネスは変わる、グーグルのAI「Gemini」の強み

3. サイドパネル機能の日本語対応

2024年6月、Gmailやスプレッドシート、ドキュメント、スライドなどGoogle Workspaceのツールといっしょに使える「サイドパネル」機能を提供開始した。先に触れた使い方はGeminiアプリからWorkspaceのツールを呼び出す機能だったが、サイドパネルはWorkspaceのツールを基点としてGeminiにすばやくアクセスできる機能だ。

例えばGoogleドキュメントで作成中の書類にイラストを挿入したい場合、サイドパネルからGeminiのプロンプトにイラストの雰囲気を指定して、生成された画像をそのまま書類に追加できる。サイドパネルはグーグルが6月に北米から先行導入している機能だが、9月以降を目処にいまグーグルは日本語対応を進めている。最初はGmail、ドキュメント、スプレッドシートとドライブのサイドパネルが日本語で使えるようになる。

WorkspaceのツールからGeminiを呼び出せる「サイドパネル」。生成AIを活用しながらドキュメント作成を進める際に便利

WorkspaceのツールからGeminiを呼び出せる「サイドパネル」。生成AIを活用しながらドキュメント作成を進める際に便利

サイドパネルの日本語化にあたって、グーグルの開発チームは先にウェブアプリのGemini、続いてGoogle Workspaceの順で言語対応を進めてきた。理由は「生成AIによる翻訳の精度が安定しない限り、その後段でGoogle Workspaceによる続きの作業が破綻してしまい、良い結果がのぞめなくなること」だとベア氏はいう。

4. 自動翻訳・字幕機能の対応言語が拡大

Google Meetの中の自動翻訳・字幕機能の対応言語が拡大する。8月以降から69言語、4600対の言語ペア(日本語ー英語など)でリアルタイム翻訳が利用できる。

グーグルによるAI開発における3つの強み

一昨年末から昨年にかけて生成AIが瞬く間に脚光を浴びた。グーグルのライバルも生成AIを活用するさまざまなクラウドコンピューティングサービスを提供しているが、ベア氏は「Google Cloudの強み」として以下の3点を挙げる。

「1つはGoogle Cloudがグループ企業であるGoogle DeepMindが研究開発する革新的な技術を組み込んでいることです。グーグルには独自の大規模言語モデル(LLM)があり、エンドユーザー向けのプロダクト開発にまで完全な垂直的統合ができています。他社が同じことをしようとしても限界があります」

ベア氏は次に「セキュリティ性能が高い」ことがGoogle Cloudの特長だと話した。

「特にGemini for Google Workspaceは土台からクラウドファーストのコンセプトに立脚しているので、データを安心・安全に扱える構造になっています。プロテクション技術も非常に高度で強力です。お客様のデータやプロンプティングの内容がGoogleのAIモデル学習に使われることは絶対にありません。データ漏洩を徹底して防ぐ技術も、長年のクラウドコンピューティングツールの開発経験から確立しています。安心してビジネスに使っていただけます」

AIがクラウドにあるユーザーの情報を正確に把握できていることが、ベア氏が説く3つめの強みだ。「例えばGmailやドライブの中にあるユーザーのファイルをAIが正確に、かつ安全に解析します。ユーザーに合わせて高度に個人最適化した回答が返ってきます。他社のLLMは一般的なユーザー認識に止まっているため、回答の内容に深みがありません。Google Cloudはパーソナライズされた回答の質に差が出ます」

例えばライバルであるマイクロソフトのMicrosoft Copilotは、生成AI技術のベースをOpen AIが担っている。ゆえにChatGPTと連携する際には回答の内容やスピードに制約がかかり、最新のデータベースとマイクロソフトのプロダクトのつなぎ込みにタイムラグが発生する場合もある。ベア氏は「Gemini for Google Workspaceの方が業務の生産性向上にすばやく直結する」と太鼓判を押す。
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編集=安井克至

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