だから子どもが何かアイデアを思いついたら、たとえそれが突拍子もないものであっても頭ごなしに否定せず、「いいね」と受け止め、「どうしてそれをやってみたいの?」と聞いてみよう。そして理由を聞いた後、言うべき言葉は「やってみたら?」だ。もちろん失敗しても、「だから言ったでしょ!」のような批判はしない。子どもたちはきっと、あなたが長い人生のなかで学んだことを、今、その失敗を通して学んでいるのだから。予想通り子どもが失敗したら、「やってみて、どんなことがわかった?」「もう1回やってみる?」「やり方を変えてもう一度やってみる?」など、前向きな言葉をかけよう。
この一連の会話では、まさに3つの行動が実践されている。つまり、1. 子ども自身に挑戦を決めさせる「自主性の尊重」 2. 失敗する可能性が高いことに挑戦させる「失敗の奨励」、そして3. 失敗を「否定しないこと」「非難しないこと」のトリプル技だ。また、3により、1と2の行動は増幅される。
私が子どもの頃、父に突拍子もないアイデアを話すと、彼はまさにこう言った。「やってみたら?」──たとえうまくいかないとわかっていても、父はそう言ってくれた。そして見事失敗した私に「やってみて、どんなことがわかった?」と聞いてくれた。失敗した私を責めなかった父は、私に挑戦を楽しむ人生を与えてくれた人である。
私が質問をすると父はほぼすべてに答えをくれたが、「自分で答えを探せる?」と聞くこともあった。私が「わからない」と答えると」と(当時はグーグルなどなかったことをお忘れなく)、父は答えやその探し方を教えてくれた。
私の息子が高校生だった頃、期末試験の直前に調子を尋ねると、彼はA(米国の高校における最も良い成績評価)を取れると答えた。そのとき私は息子に、本当はAのなかでもさらに「A+」も狙えるんじゃない? と聞いた。すると、彼の答えは 「うん、そう思う。でも、A+ を取るには 今から1週間勉強だけをしなきゃいけない。A なら1 週間を楽しく過ごせるから」。これを聞いたとき、私は「我が息子ながら(優先順位が)がわかっている!」と感心した。
【失敗を恐れないことで得られるもの】
起業家とは失敗への恐怖や代償よりも、情熱がはるかに上回る人々である。子どもに失敗することを教えられれば、失敗への恐怖感は減り、起業家のように挑戦を楽しむ人生が歩めるだろう。もちろん、自分を幸せにする「大切なもの」が見つけられる可能性も高まる。
(forbes.com 原文)