教授は発言者の方を向いて言った。「違います。この瓶が表しているのは『あなたの人生』です。野球ボールはあなたの人生で最も大切なもの。マーブルチョコレートはあなたの人生に色、味、喜びを加えるものです。砂と水はあなたの人生から時間を奪う、その他すべてのものです。みなさん、人生においては、この『入れる順序』を守ってください。大切なものをまず最初に入れるのです。そうすれば、すべてが収まります。野球ボール以外のものを先に入れると、野球ボールが入らなくなります。これからは、自分の人生で何が大切であるかを見極め、まずそれを優先するようにしてください」
子どもは失敗を通して強くなる
私が人生で最も大切にしていること、それは新たな価値の創出(訳注:筆者のウリ・レビンはカーナビアプリを提供するWazeなど、ベンチャー企業2社の創業者)、そして何より、子ども、妻、友人だ。幸いなことに今、それらすべてが満足できる状態にある。だから私はとても幸せだ。では「子どもが大切」とは、具体的にはどういう意味だろう。
それはただ1つ、彼らが幸せであることだ。
しかし親がどんなに願っても、子どもを瞬時に幸せにする魔法などない。なぜなら私たちには、子どもが何に幸せを感じるかがわからないからだ。だからこそ、ここで1つ提案させてほしい。親には、子ども自身が「野球ボール」、つまり人生において大切にすべきものを見つけられるよう、サポートしてもらいたいのだ。大切なものが見つかれば、それが彼らを幸せへと導いてくれるはずだから。
子ども自身に「野球ボール」を見つけさせるには、親は子どもの幼少期から常に、次に記す「2つの行動」を続ける必要がある。同時に、ある「1つの行動」を避けなければならない。この3つができれば、子どもが幸せな人生を歩む可能性は劇的に高まる。
常に取るべき「2つの行動」のうち、1つはとてもシンプルだ。それは、子どもの「自主性の尊重」だ。子ども自身に選択させ、体験させる。そして親はサポート役にまわる。
2つ目は最も重要な、「失敗の奨励」だ。子どもには、失敗してもいい、さらには何度挑戦してもいいのだと教える。失敗して立ち上がる体験を経た子どもは、その体験によってさらに強くなる。それだけではない。「失敗が挫折ではない」と学んだ子どもは挑戦を恐れなくなる。うまくいけば、瓶に入れる最初のものが見つかるかもしれない。