今後のハードル
ケーブスは、医師たちからの疑念を払拭することが今後乗り越えなければならないハードルだと考えている。血液サンプルを使ったがん検査(リキッドバイオプシー)は、腫瘍学において長年に渡って究極の目標とされてきた。しかし、その有望性とは裏腹に、米国食品医薬品局(FDA)がこれまで承認したのは固形悪性腫瘍向けの血液検査2件のみで、多発性骨髄腫のような血液がん向けのリキッドバイオプシーは承認されていない。それでも、ゴブリアルとケーブスは、医師も患者もこの技術の利点を理解すれば受け入れるようになると予想している。プレディクタの創業メンバーは、2023年2月に学術誌のCancer Discoveryにこの検査の有効性を説明する論文を発表した。
この論文を読んだというシドニー・キンメル総合がんセンターとジョンズ・ホプキンス医科大学で骨髄腫の専門家を務めるシード・アッバス・アリは、プレディクタの研究が有望であるとしながらも、多発性骨髄腫の診断において骨髄検査から血液検査に切り替える上では、より多くの研究が必要だと主張する。
「この研究は、血液検査に移行する上で重要な足がかりになるだろう」と彼は前置きしながら、腫瘍からかなり離れた場所にある可能性がある血液サンプルから得られた結果を検証することには課題があり、従来の技術がまだ必要だと指摘する。「新旧両方の技術が今後役に立つツールになると考えている」と彼は言う。
プレディクタが技術開発を続け、免疫系についてより多くのデータを収集することにより、同社の製品が患者の診断や治療に役立つ可能性が高まるとゴブリアは考えている。
「我々は起業家であると同時に医師であり、医師と患者の両方にとって何が必要かを理解している。単にデータを提供するのではなく、重要なデータを提供し、それが患者にとってどのように重要なのかを説明していく。それこそが我々ならではのユニークなアプローチだ」と彼は語った。
(forbes.com 原文)